Date: Sun, 21 Mar 1999
寮に住んでいた頃は、ほとんどモルツであった。寮内に設置されている自動販売機がサントリーのものだったからである。「ひょっとして、サントリーと、ぼくの勤める会社は関係会社なのだろうか?」とか、「横浜市はサントリーの勢力圏なのだろうか?」とか憶測が私の中だけで飛び交ったものである。
部屋で、ひたすらモルツの缶を空けては、積み上げてみたりして、「うむ、積もるモルツ。」と、しょーもないことを独り言ちていたのだから、どうしようもない。あんまり積み上げると、私が仕事に行っている間に、管理人さんの部屋チェックがあったから、イエローカードを発行されたらまずいので、(レッドカードだと退寮であった)、高い塔の建築は断念して、まめに毎朝、寮の資源ゴミ置場のアルミ缶専用ごみ箱に捨てていた。
寮を出た私は、モルツの呪縛を逃れたのではあるが、缶ビールの呪縛からは逃れていないので、いろんなビールを買ってきては空ける日々を過ごしている。しかし、違いのわからん男である私は、「どのメーカーの、どの銘柄がどうのこうの」と、うんちくを語ることができない。
ただ、「モルツばかり積むよりは、いろんなメーカーのを積んだ方が、ほんとにトーテムポールみたいで良いな。」と、他の人から「また、わけのわかんないこと言ってる」と言われるようなことを思うだけである。寮にいた時は、毎朝集積所に捨てていたのだけれど、今住んでるところでは、缶の回収日は火曜日と決まっているので、その分、立派なトーテムポールが部屋の中に築かれるのである。
空き缶の他には、ペットボトルが結構たまっている。おそらく、私の部屋には猫は入ってこられないであろう。それにしても、猫よけ効果は、本当にあったのだろうか。管理人の妨害もないので、積み上げられたペットボトルと空き缶は、既にトーテムポールのレベルを越え、スペインのバルセロナにあると聞く、サグラダファミリア教会の様相を呈している。私は敬虔な俺教信者である。
先日、出張した折り、帰りの電車で、いっしょに仕事をしている会社の部長さんにワンカップとつまみをごちそうになり、「君は飲めそうな体格をしてる」とお言葉を賜った。そのあと、酔いの効能とかの、ご高説を賜ったのだけど、「長距離の電車に乗ると、なぜかお酒を飲みだすおっちゃん」のステレオタイプにはまってる気がしている私は、実例を見てありゃりゃと思った。ま、自分もまた共犯者なのだが。
酔いの効能を聞きながら、「はて?俺、この頃、ちゃんと酔ってるかなぁ?」という疑問で頭の中がグルグルした。たしかに、飲むと、外部からの刺激に対して鈍感になってるのは分かる。手足の末梢が冷たくなるのも酔いの一種だろうか?普段よりも、ネタを出す出さないの、しきい値が低くなる。
じゃぁ、酔ってるか?と言えば、普段、ぼくが見かける他人の酔いっぷりと比べると、「俺、全然酔ってないんじゃなかろか。」と思う。「酔ってるけど、酔っぱらってないのだな」と、また屁理屈を言う。「酔っぱらいなもんですみません」と言う「勝手に無礼講な人」が大嫌いなのもうまく酔わない原因かもしれない。
「う〜ん、この頃、週休二日が守れてないなぁ。いそがしいなぁ。」と思う私は、週に2回の休肝日なんてちっとも取らずに肝臓君を酷使している。「沈黙の臓器」と言われる肝臓君は、私の仕打ちに泣き言も言わず、働いている。
しかし、腹を下したり、吐き気がしたり、脂汗が出たり、皮膚に吹き出物が出たり、脂足のはずの足の裏が乾燥してひび割れたり。結構、身体から抗議はきている気がするので数カ月に1回いつも思っていることだが、控えようと思ってみたりするのである。たぶん、客観的にはけっこう重症な依存症予備軍、いや、正規軍かもしれん。
---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の世 暑くなったり、寒くなったり、強風が吹いてみたり。
当時の私 こないだ引越しを手伝ってもらった先輩の引越の手伝いをしたら、ちょっと筋肉痛。