[*]My name is ...

Thu, 25 Sep 1997

前から気になっていたまま、なかなか手を出せないでいた品物の一つであった。いわゆるハンディーコピー機である。ぼくはしばしば名前に引かれる。題名だけで本を買ってしまったりする。内容がつまらないと少しは損した気分にならないでもないが、とりあえず、その題名に引かれたのだと思うと、棚に並べて背表紙を眺めているだけで幸せになる時もある。

この製品の名前は "写楽走" という。役者の似顔の浮世絵なんかで有名な謎の浮世絵師東洲斎写楽にあやかったのだろうか。なんとなく音が
「しゃらくせいっ!!」
と言ってるような気がして良い(とぼくは思う)。

ぼくは時折、「おや? 」と思った記事を新聞や雑誌から切り抜くことがある。別のネタで述べた「 溝口の話 」なんかのようにそのまま話の種になることもあるが、多くはただ単に 古紙回収 に出されるまでの期間が延長されるだけのような紙を増やすのみである。

それでも、さらに時折、「おや? 」「おや? 」と思うことがあり、雑誌や新聞のとあるペ−ジの表裏に取っておきたくなるような記事があることがある。片方を切り抜いてしまうともう一方が欠ける。そうした場合に、手軽にコピ−はとれないものか? と思うのである。その場合はたいがい、近所のコンビニまで持っていって10円を投入してコピーする。そういえば、以前、コンビニに自動車を横付けしたかと思うと、ササッと店内に入り、地図やガイドブックをさりげなくコピーして棚に戻し再び車で去っていく人を見たことがある。強者というか合理的というか…

で、写楽走であるが、まず原稿の上を適切な速度で手で引きながらスキャンする。そして、スキャナヘッドを「バキョンッ!!」とばかりに上げると、そこに熱転写ヘッドが現れる。多少この専用インクリボンは今でも扱われているのかは気になる。これを用紙の上に置き、ローラーの回転に合わせて紙の上を移動すると、画像が転写されるのである。

ところが、ぼくの持っている白い紙はいわゆるコピー用紙。この手の紙はトナーののりが良くなるように意図的に表面がざらつかせてある。ところがこちらは真正直な熱転写ヘッドなのでうまく印字できないのであった。ではツルツルである程度平面性が良い素材はなにか?

と考えていたふりをしつつ、当初の目的であるところの名刺作りをすることにした。ペイント系ソフトで版下がわりの原稿をつくり、それをスキャン&プリントする。名刺の裏は平滑性が良いので、なかなかいい感じ。しかし、表面の本物の印刷に比べるとレベルが落ちるが、まぁ良い。

としたところに業者さんと打合せ。名刺交換と言いたい所だが、このふざけたジョーク名刺の試作品しかポケットにはない。さすがに「はじめまして」の人には、いきなり、これを渡せるほどのフレンドリーな関係になってはいないので、
「あいにく切らしておりまして…」

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