鉄コン筋クリート製の街には、異次元に通じる穴がそこかしこに開いている。
1998/3/8 横浜市青葉区
あの穴は水抜きなんだろか。コンクリの壁にはよくパイプが埋め込まれた穴が開いている。上土が流れてきたのか。土がたまっている。
私は気が小さいので、しばしば、穴があったら入りたいという時があるが、あいにく、そういう人用の携帯型マンホールはまだ製品化していない。
穴があったら入りたい人がいるかと思えば、穴があれば入れたい人もいるらしく、この手の穴にはしばしば空缶が入れられる。
ポイ捨て抑制のためにはこの種の穴は減らした方がいい。同じような問題として、手の届く高さの塀の上も缶が並ぶ遠因となるので気をつけないといけない。
パイプの中は多分、水が流れてくるので、上の実例のような缶はやがて、その隣の穴のように茶色い円筒状のものになる。
錆た体をひっそりと横たえた姿は哀愁をさそう。
土と水が供給されるとなると、そこに草が生えることもある。
なんだか、かくれんぼしてたら鬼に見つけられないまま、お友達はみんな、お家に帰ってしまいました。という感じの生え方だが…
近頃は人の目の届かない空間を作ってはいけないと思っている大人が多いらしく、公園でもこういうパイプ状の遊具は減っている。土管のある空き地はマンガの中だけの世界になってしまったらしい。
あまり隠れていては日光が当たらないので、こんな感じで伸びてくるのもいる。
こういうのは人がわざわざ自然の振りをして植えた街路樹よりも、自然なたくましさを感じる。
植物も生き物だから、やがて枯れてしまって、このパイプが干し草工場状態になっていることもある。
これくらい豪快に出てこられると、やはり、この向こうは異次元なのではないかと思えたりする。異次元からの物体X。
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