(む}Fast impression

Date:Sat, 2 Sep 2000
written on Sun, 10 Sep 2000

2000/09/02 06:30 起床。断食修行初日。計測、体重75.0kg, 体脂肪率25%。

詳細は忘れてしまったが、なにやらSFな夢で、けっこうスリリングだった気がする。しかし、明らかにおかしな世界で、どうしてあんなに入り込めるのだろうか。起きて、現実の村上健という個人であることを思い出すのに、体感で数秒かかる。日によっては、夢の中でも村上健である時もある。でも、私が村上でなくても、私は夢の中でも私だと思っている。不思議だ。

改めて考えるに、私は、普段から朝飯を抜いてるではないか。但し、最近は、一時期の赤飯おにぎりではないが、ウイダーインプロテインを食してることが多い。10秒以上かかってチャージして2時間以下で放電する。あ、チャージするのはプロテインでなくてエナジーの方か。言うまでもないが、グリコを一粒なめても300どころか100mで息切れする。

09:30から11:30 回峯行ならぬ、街歩き。デイパックの中にはボルヴィック500ml一本。断食と言っても、水分補給は十分にしなくてはいけない。路上観察から帰宅して血圧を計ってみる。上119/下85 脈拍62。全然、正常じゃん。

特に空腹感はなし。昼御飯替わりに250mlの野菜ジュース摂取。ほんとの修行で断食するなら、水とかお茶以外は取らないんだろうけど...「やかん」って漢字で「薬罐」って書くらしい。元々、薬を煎じたりするのに、使ったりするマジックアイテムだったのだろうか? 私のアルミのやかんには「お湯を沸かす用途以外に使用しないで下さい」と取説にある。

すこし体を休めて、ふたたび街歩き。今度はエビアン330mlを道すがらのコンビニで入手。しかし、この日は、関東地方、この夏一、二を争う猛暑。滝のような汗。路上を見渡して、「俺はこの辺りで一番汗が流れてる人なんじゃなかろうか」と思う。持っていったタオルも服もしぼれそうだ。

汗で服が肌に、ピタッとはりつく。かっこわるい。まぁ、はりつかなくても私は元々、カッコいい系の人ではない。なにを今更である。しかし、なんとなく、きまりが悪い。よほど脱いでしまった方がすっきりするんじゃないか。と思うけど、たるんだ身体を往来で露出するのは、軽犯罪法に触れるのではないか、というより、やっぱりどこかはずかしくて躊躇する。

ふと、路上を見回すと、ファーストフードの二階客席を、望遠レンズで狙うカメラ小僧君が目に入る。彼はもう彼の世界にドップリ浸かっているようだ。路上観察で物件の写真を撮る私も、端から見ると、こんな感じなのだろうか。

彼の後ろを、超ミニな制服に身を包んだ小娘さんが、裾が捲くれ上がらんばかりの勢いで、自転車で爆走している。小僧くんには、そういう小娘さんは興味の対象外なんだろうか。確かに、昨今のご時世、そんな小娘さんは少なくないので、レア度が低いのかもしれない。

彼女のパンツが見えていることより、私の服が汗で肌にはりついている方がはずかしいと私は思う。日射病とか空腹とかでなくて、クラクラしていると名案が浮かんだ。「そうだ。河川敷に行けば、上半身裸で、おじさんや、おにいさんが、ジョギングしたり、バイセコーをグイグイとこいでるはずだ。そこに行けば、大手を振って、上の服を脱げるではないか。」いや、手は振らなくてもよい。

しかぁし、脱げぬ。脱げぬのだ〜。あぁ、私は、みんなで海岸に遊びに行って、みんなが波打ち際でウキャウキャとアバンチュールな感じになっていても、一人、水着に着替えもしないで、日陰でしみじみするような人なのだ。

辛うじて、普段はズボンの中に仕舞い込んでいる、服の裾を外に出すには出した。しかし、ズボンに納まっていた部分は汗がしみ込んでいないので、服がツートンカラーになってしまって、それはそれで、なんか、はずかしかった。いや、誰かに見られてるってわけでもないのだが...トボトボ歩く私を、おじさんやおにいさんはギュンギュンと追い越して行った。

15:30 部屋に帰り着いた私は、ビショビショになった服を洗濯機に放り こんで、シャワーを浴びた。ついでにそのまま、風呂の掃除をした。計測。体重 73.4kg 脂肪率 23%。猛暑で無茶苦茶に汗をかいたので、水分が飛んでしまっただけで、脂肪が減ってるわけではないと思われる。朝から都合1リットルくらいは水分とってるので、計算上、汗やらなんやらで2.5リットルどこかへ飛んでいったことになるのか?でかいペットボトル一本?ほんとか?

ちょっとストレッチしてみたり、トイレ掃除してみたり、部屋の一部を片づけてみたり。今回、「部屋を全部一度に片づけようとしないで、気付いた所だけ、小出しに片づける」と比較的手軽にできてよい。というのは、一つの悟りであった。みなさんは、とうの昔からご存じかもしれない。掃除好きな方なら、一遍に済ました方が精神衛生上よいだろう。

全体的に、体が少しだるめ。寝不足の朝みたいな感じか。そういや、空の入道雲あやしかったなぁ。と洗濯物を取り込んで部屋でくつろいでいたらにわか雨。外で「もぉ〜つめたいぃ〜」と言いながら走る女の子の声がする。「冷たい」とは言われ慣れている。いや、私に言ったのではないだろう。

雨が過ぎて、コンビニに水と電池と、野菜ジュースを買いに出掛ける。別に、私が電池で動いているのではなく、エネルギー切れは血圧計君である。目と喉がしきりと乾く。あんなに水分を取ってるつもりなのに。たぶん、食事と一緒に摂取する水分がない分、足らないのだろう。普段の生活でこんなに水を飲んでたら、確実に鼻がグシュグシュ言いだすのが私の身体のはずだ。

野菜ジュース飲んで30分して入浴。内臓に血を巡らせるのと、運動で筋肉に血をやるのと、風呂で身体をあたためるのは、同時にしない方がいい。ということを考えて脳味噌に血を回すのはいいのか? 謎だ。

腰までの半身浴しながら、丸谷才一さんの『思考のレッスン』(文藝春秋, 1238円+税)という本を30ページほど読みつつ20分。「アルキメデスはお風呂に入っていてあの原理を発見した。たぶん彼は風呂のなかでは本を読んでなかったはずです(笑)。」なんてくだりを、風呂の中で読んでいる私。純粋に思考するには、読書は邪魔であるらしい。半身浴は、水道代もガス代も節約になっていいかもしれない。でも、追い焚きできるタイプのお風呂だと、逆に水位が低いとまずいか?私は私の原理を発見しても「わかりた〜」と叫んで街を全裸で走ったりはしない。

じわじわと、玉のような汗の見本のような汗が出てくる。玉のような汗は、辛抱たまらなくなった線香花火のように雫となって身体を伝う。ああ、眉毛や、睫毛は汗が目に直行するのを、やはり防ぐのであるな。と思う。男の睫毛は、乳首の次くらいに存在価値が謎だったのだが(実際、マンガ表現では、男性キャラの乳首や睫毛は(唇もか?)、描かれてないケースが多い)。しかし恩恵も束の間、川の増水は激しく滝のようになり、堤防は決壊し、汗が目にしみるのであった。

風呂上がり計測。体重73.8kg 脂肪率23% 一応、朝より1.2kg減ってる。喉に妙な渇き感と、胸がこみ上げるような感じ。脱水症状ってより、それは、あんた、アルコールの離脱症状じゃないの?なんちて。特に激しい空腹に襲われることもなく、初日は終わった。

つづく

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『思考のレッスン』丸谷才一(文藝春秋,1238円+税)自分の得意分野からの類推で仮説を立てるってのはあるかもしれんなぁ。どのみち、自分の謎は、自分で考えないとしかたなし。
当時の世 で、週の間涼しくて、土日はまた暑かった。
当時の私 週末断食2週目もした。一週目よりは、土曜朝の空腹感が強かった。単に前日、夜食と大酒してないせいかもしれない。野菜ジュースや、水を結構飲んでしのいだ。

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ウイダー森永製菓の製品です。
グリコは江崎グリコの製品です。
ボルヴィックは三菱商事の輸入品です。
エビアンは伊藤忠商事が輸入して、カルピスが販売してます。
野菜ジュースは、おもにカゴメの製品にお世話になりました。