Date: Thu, 15 Jan 1998
1/15は「成人の日」です。成人というのは「大人」のことです。一般に20歳以上のこととされていますが、成人映画は18禁です。「成人の日」は「20歳以上の日」なんだろうかと思えば、事実上「20歳の日」です。
小さい頃、テレビで映画ガイドとかいう10分かそこらの短い番組があって、なぜか突然ナレーションがプツリと途切れたと思うと、画面の中に怪しげなタイトルが映りその端っこに「成人映画」という表示がありました。数秒後、「以上の作品はご覧の劇場で上映中です」とだけ紹介されているのを見て、第二次性徴まではまだまだ先でしたが、「セイジンというのは性的人間のことに違いない」と思いました。
お子様用のゲーム盤なんか買ってもらうと、箱の側面に「5才〜成人向け」などという表示があって、なんだか、そこはかとなくおかしかった覚えがあります。おそらく、ウルトラマンシリーズをひたすら見ていたお子様の私には、「成人」ってのが「星人」に見えて、なんだかエイリアンを見るような感じを受けたのだろうと思います。
私は実家のある地域の成人式をさぼった人なので、そのせいで今でもお子様なのかもしれません。ついでに言うと、大学の卒業式もさぼったので、本当に卒業したのかあやしいです。
本人は学校を辞めるか、留年するか(一年やってしまいましたが)どちらかにしようかと思っていた節があるのですが、流されたような追い出されたような形で卒業したことになってます。
成人病というのはおおよそ中年以降の方がかかりやすい病気だと言われていますがいまどきは、子供でも高血圧や糖尿病にかかるらしいです。
「二十歳」と書いて「はたち」と読みます。「二」が「は」で、「十」が「た」で、「歳」が「ち」というわけではなさそうです。縁日なんかで怪しげなものを売る、テキ屋さんのことを「やし」と言いますが漢字では「香具師」と書きます。「し」は「師」でしょう。じゃあ「や」は?「香具」??謎です。それを思えば「はたち」の方が健全です。
昔は「青年の主張」と言っていたものが、いつの頃からか「青春メッセージ」になってます。なんだか低年齢化したような響きに聞こえるのは私だけでしょうか。でも、かなり立派なことを言ってるみたいです。だてに地方代表ではありません。
いわゆる、儀式を行うことによって、建前上、一人前扱いするのが、成人式や元服なんだそうです。建前なのは「青」年の主張や、「青」春メッセージであることから明らかです。青いのは未熟だから。
今年の関東地方の成人の日は、先週に続いて大雪でした。成人式に参加する人も、大雪のためにキャンセルする人が多かったそうです。雪が降ったからやめにしたり、それでもなお晴着を着て出かけるのが、お子様のわがままなのか、大人の判断なのかはわかりません。
大雪をおして参加した新成人にテレビのリポーターがマイクを差し出します。
「こういうのも、いい思い出になって、いいかなぁって思います」
番組的にばっちり「いまどきの若者像」のいい絵が撮れたようです。
まったく、この時期になると、かならず、「着物の時は下着はつけないのよ」とか「もう、大人なんだから」って感じで着物を着たまま致されるエロマンガが量産されるんだよな。などと思うとなんだかむなしくなるのでした。
ちょっと昔なら、「モラトリアム人間」という言葉でくくられるのでしょうか。私は。すくなくとも、高校野球や、大学駅伝や、近所のお店のバイト君やバイトさんを見て「若いな」と思えるくらいには年は取れてる気がします。それにしても、野球部員は、サッカー部員やラグビー部員に比べると幼げに見えるのは、私の気のせいでしょうか。
---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本『僕のこと、好きですか』西村雅彦(小学館文庫,438円)個性派俳優のエッセイのカバーデザインは、某所の形成手術の広告のパロディか。
当時の世 関東地方大雪。
当時の私 大雪の日は部屋で篭城