Date: Sun, 1 Mar 1998
新装着スタイル。New fashion for music lovers on the go. たしか雑誌の正月号なんかでは「初耳スタイル」というコピーで白塗りの禿頭の人がしている広告が出ていたと記憶している。
いわゆるインナーヘッドフォンのように耳の中に入れるわけでなし、普通のヘッドフォンのようにバンドが上にくるわけでもない。これだと前髪命な人とか、ヘッドフォンしたら髪の毛がペチャンとしちゃってちょっと…というような人にはいいかもしれない。
フレームの部分を耳に引っかけるのである。耳介の形の個人差によってはしっくりこない人もいるかもしれないが、耳に当たる部分はやや軟らかいゴム状の部品になっている。
売り文句に曰く
「ヘアスタイルも気にならない、新しい「ネックバンド」ずれ落ちない安定した装着感」
私なんかはかたくて多めの癖っ毛が後ろでブワーッと広がる傾向があるので、これだとそれを押さえる効果があっていいかもしれない。
ちょっとかっこいいヘッドフォンをしていたとしても、混雑した電車で大音量で聞いて、周りにシャカシャカ音をまき散らすのはいただけない。思わず、心の中でBGMがなる。
ちゃらら〜、ちゃらっちゃちゃちゃちゃちゃ〜ちゃらら〜
シャキーン
と、かんざしをクルリと回して飾り職人の秀になりかける。相手の首筋にはネックバンド。「はっ、もしや、対飾り職人の秀防御?」
すると、花道の奥の方から、あのテーマソングが聞こえてくる。
ちゃ〜ちゃぁちゃ〜 ちゃぁちゃ〜 ちゃぁちゃ〜
「さぁ、みなさんご一緒に、1.2.3.…」
おそらく、この樹脂製のフレームでは延髄切りはかわしきれまい。
新装着スタイル ステレオヘッドフォン MDR-G61(Sony)
-----
普段から、どうも、ウォークマンを使う習慣がないので、これをして歩くのには抵抗がある。(1998/3/3)
Date: Sun, 1 Mar 1998
世の中はノイズが多い。先に述べた車内でのウォークマン使用者がでかいボリュームを出す理由の一つでもある。近頃はアイドリング停止バスなんてのがあるから、赤信号で止まったバスはエンジンが止まるので、急に車内での会話やヘッドフォンから漏れる音が目立ったりする。
「あ、バスとまっちゃったねぇ」
「なんかさぁ、うちらの声、超目立ってない?」
「ほんと。でさぁ、こないだA子ったら○○の時、××でさぁ。あいつ、超はずかしいよねぇ。」
おっと、上の会話は別に人のヘッドフォンから漏れてきたものではなく。口から漏れてたものである。しかし、君らの会話の方がよほど恥ずかしいとおじさん初級者の私は思う。
で、この製品。耳のドームの横についてるマイクで外部のノイズを拾い、中の回路で位相を反転させた振動を発生させてノイズを打ち消すのである。外部ノイズの影響を押さえるので本来のヘッドフォンのボリュームを上げすぎること防ぎ、使用者本人の耳にもよろしく。周りの人へのシャカシャカ音も抑えるということらしい。シャカシャカ音を打ち消してるわけではないだろう。ボリュームを抑える分漏れる音が減るだけだと思われる。
ヘッドフォンとしてだけでなく、単なるノイズキャンセラーとしても使える。内部の回路はちょうど耳の上の競馬をやるおっちゃんが赤鉛筆を差す部分にある筒上のケースに納められた電池で駆動する。外部の音を完全に消去するできるわけではないので、なんとなく世界がまろやかになった感じになるだけである。いわゆる無響室にずっと入っていると精神的に堪える人もいるらしいから、おそらく、人が生きるのには必要なノイズもあるのだと思う。第一、この装置のスイッチを入れた時点で弱いホワイトノイズが聞こえてくるくらいである。
ただ、私がして出かけるにはちょっとゴツイので気が引ける。
ノイズキャンセリングヘッドフォン MDR-NC20 (Sony)
標準価格12000円,購入価格9140円
-----
試しに、仕事帰りの電車の中で使ってみた。もっとも、ヘッドフォンとしてでなく、ノイズキャンセラーとして。若干、世の中がくぐもって聞こえる感じか。でも単純な耳栓と違って、音声は実用レベルに聞こえる。車内の他人の会話は輻輳してホワイトノイズになってるので、良い感じで抑えられている。反対側の電車とすれ違う時や、トンネルに入ったときの風切り音?にはこのリアクティブアーマーの応答が追いつかないらしく。時折、ザッ!という大きな音が聞こえた。(1998/3/3)
Date: Sun, 1 Mar 1998
知り合いからこの品物の紹介を受けた時、すぐに「手にいれなければ」とニョキニョキと購買意欲がわいたのである。私の好きそうな品物のにおいがしたのである。においがしたと言っても嗅いだわけではない。
耳の上の部分に指向性マイクがついていて、これを内部の回路で増幅し、聞くことができるのである。千里眼の耳ヴァージョン、地獄耳、デビルイヤーというやつだろうか?
なにせ、まったく聴覚に特化した品物だから、百見は一聞にしかずに違いない。ぜひ体験せねばと思ったのである。
買ってきて、早速装着する。「お〜。なんか感じが違うぞ」帰り道に寄ったコンビニの袋を開ける。ガサガサした音がワサワサとエンハンスされて、まるで巨大ゴキブリが這い回ってるようだ。「ウワッ」という自分の声もちょっと違う。したまま歩いてみる。自分の足音が強調されて「スチャ。スチャ。」とロボコップのような足音がする。こいつを聴覚にして、視覚は前に買ったグラストロンにしてロボコップごっこというのもおもしろそうだ。
「これだと、遠くで落ちた針の音も分かるってやつができるかもしれん。」とお裁縫セットから針を取り出して、部屋の隅に投げてみる。無論、所詮6畳一間であるから、肉耳それとも裸耳、とはあまり言わないが普通に聞いても、畳の上に針が落ちて滑る時のザザッという音は聞こえるのであるが、この装置をして聞いてみると、落ちた瞬間の金属音が「キーン」と聞こえたのである。おお、おもろい。
缶ビールを開ける時も、「シュカッ」という音が鋭くなって「俺は開けたぞ〜」ってな感じになる。
そのあとの、喉ごし音が「ゴキュ、ゴキュ」って感じで「お〜飲んでる」とう雰囲気。
もう、あとはフィードバックされた自分の声を聞きながら
「プハァーッ!生き返った〜」とやるのみである。ただし、死んでもいないのに生き返るのは内緒である。
本来は劇場での観劇とか、広い会議室の遠くの机で発言する人の声を拾うとか、英会話やカラオケの練習で自分の声がよく聞こえるようにという目的があるらしい。その辺の本来の機能はおいおい試すとしよう。
性質が謎な製品だからか、ソニーのホームページのどこに紹介されてるのか。ちと分からなかった。型番で検索しようとしても引っかからないし。でも、おもしろい製品だ。値段を割高と思うかどうかは趣味の問題だと思われる。
これを買った日の夜、ちょうど雨が降っていた。雨だれの音や、時計の音。廊下を歩く人の足音が強調されて聞こえてきて、なんだか眠れない日のような感じになったのであった。
サウンドモニタリング レシーバー SMR-200
標準価格11000円,購入価格8800円
-----
最寄りの駅から、今の住まいまで20分近くかかるのだが、そのあいだ、これをして歩いてみた。道路を走る自動車はみんな神経質に見える。ドブ川のせせらぎが耳に響く。ちょっと向こうの普通の犬の鳴き声が良く通る遠吠えのようだ。歩きながらケータイで話中の人の声がよく聞こえる。盗み聞きしては申し訳ないので、首を振る。指向性だからそちらを向かなければ、いくらか拾う音が減る。しかし、これをして歩くのは、けっこう怪しい奴を認定される危険性が高い。ま、俺は怪しいからいいか。(1998/3/3)
SonyDriveへ//MDR-G61・MDR-NC20・SMR-200