(む}Universal century

Date: Mon, 25 Dec 2000

映像用のディスクの市場は、かなり、レーザーディスクからDVD(Digital Versatile Disc)に移行している。新規で発売されるソフトからLDのラインナップが、当然のように消えていたりする。レンタルLDというのはあまり聞かなかったけど、レンタルDVDのお店は結構増えてる気がする。CDよりはやや傷や汚れに敏感な(気がする)DVDが大勢の人を渡っても、みんな大事に見てるのだろうか。もっとも、ぼくは借りる派でなくて、買う派だ。

12/21に、「機動戦士ガンダム」の映画版の3部作のDVDが発売された。オリジナルの映像に、音声は新規アフレコでドルビー5.1チャンネルでの新録音である。残念ながら、ぼくは5.1chを再生するだけの機材を持ち合わせていないので、その音場をレビューすることはできない。オリジナル音声が収録されていないのは、マニアックなコレクターの一部の方には不評らしいが、大丈夫。マニアックな方なら、ご自分の脳裏にすっかり焼き付けられているはずだ。同時にPS2用のゲームソフトも出たようだが、そっちはハードを持ってないのでやれない。あ、PS2だったらDVDも見れたのか。

宇宙世紀0079の物語が始まったのは、1979年のことという。それから20年が経つ。かくいう、ぼくも本放送の記憶はあいまいだ。せいぜい黒い三連星のドムまでである。いや、当時番組スポンサーだったクローバー製のGメカのおもちゃは持ってた記憶はある。だったら、ドム以降も見てたはずだ。再放送の記憶かもしれない。なお、映画版をご存知な方ならご承知の通り、このいかにも、おもちゃ然としたメカは、映画では、コアブースターに差し替わっている。

でも実際に、はまってたのは、やはり劇場版、およびガンプラの流行の後ではなかったか。プラモの入荷の情報を聞いて、自転車を走らせて、模型店に行った記憶もある。昨今の出来のいいバンダイのプラモデルに比較すると、当時のクローバーのおもちゃは、いまいち、いや、かなりイメージが違うという感がある(ガンダムにロケットパンチつけてどうするのだ)。バンダイでも、かつてガンプラで遊んだ世代が、設計担当になっていたりするそうだ。

長い話だ。と思ってみたりするのだけど、サザエさんや、ドラえもんは、原作者の長谷川町子(1992)や、藤子・F・不二雄(1996)は、もうこの世にいないけれど、そのTVシリーズは続いてたりする。2,30年経っても、サザエさんは磯野家に君臨してるし、のび太くんは大人になって、しずかちゃんと結婚したりはしていない。

ウルトラマンだって、今でも「ネオス」って新シリーズがオリジナルビデオで出てるし、仮面ライダーだって、TVシリーズで「クウガ」をやっている。円谷英二監督は、ぼくが生まれる前(1970.1)に亡くなっている。萬画家石ノ森章太郎も今はなく(1998)。あ、「戦隊もの」も長いねぇ。最近作は「未来戦隊タイムレンジャー」。


ガンダムをリアルロボット系の、はしりとするなら、スーパーロボット系と言える、ゲッターロボも、1999年には「真ゲッターロボ 地球最後の日」というオリジナルビデオがリリースされているし、この2000年末から「真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ」というオリジナルビデオシリーズが始まっている。

水木一郎&影山ヒロノブの、兄貴コンビの叫ぶオープニングテーマはかつてのヒーローロボものの文脈を踏まえつつ、今風なアレンジがされていてノリがいい。映像もかつての巨大ロボもののマンガ祭りチックで、なつかしくも新しい。

その昔、「超合金」シリーズで、イーグル号、ジャガー号、ベアー号を入手しても合体できなくて、申し訳程度に変形するのが、なんかさみしかった気がする。いや、「ふつうの目」で見て「その合体は無茶苦茶だろう」と思っても、つい今、ネオゲッターの合体シーンを見てワクワクしてしまったりする。

ヒーローものロボットは必殺技を出すとき、ワザワザ叫ぶ。

「叫んで右手のレバーを押せ!レバーが音声認識でマルチ入力になる」
「そうかぁ!意外と簡単じゃねェか!」

とって付けたような荒唐無稽な設定がイカす。少ない本数のレバーで、どうやってコントロールするのだ。というのは操縦型ロボットもののジャンルでは、旧来の懸案事項ではある(鉄人28号問題)。なお、音声入力でどこまでロボは動くのかというのも技術課題ではある(ジャイアントロボ問題)。


「仮面ライダークウガ」。たぶん、ぼくはライダー1号の本放送には間に合ってないわけで(1971年。まだ乳児である)、それを踏まえると30年越しなわけです。そのうちに、おやっさんこと立花藤兵衛の、小林昭二も亡くなってしまったし(1996年。「ウルトラマン」の科学特捜隊のムラマツキャップとしても有名。思えば、仮面ノリダーでの活躍が最期だったのでは?)、で今の、おやっさんは、きたろうだ。配役のクレジットで役名が「おやっさん」なのはなんだ。

敵が強力になるにつけ、クウガも赤(マイティ)、青(ドラゴン)、緑(ペガサス)、紫(タイタン)と変身したり、さらにそのパワーアップ版のライジングフォームの金の力がそれぞれ4種類、さらに究極の力、アルティメットフォームまで控えている。

もう、親御さんはおもちゃを買いそろえるのが大変であろう。つうか、これでは男の子向け着せ替え人形状態である。なんて下世話な話を抜きにしても、幼い頃にみたライダーと比べると、映像、ドラマともに、随分とクオリティアップをしている。しかし、出演者の、インタビュー読むと「仮面ライダーブラック(1987年放映)とか見てました」って言ってたりする。あう。

スーパーヒーローもののゲームソフトのCMで、快傑ズバットであり、仮面ライダーV3であり、アオレンジャーな宮内洋が登場してたりする。「俺が誰かって?お父さんに聞いてみな」じゃねぇだろ。

しかし、最近は放映の初めに「部屋を明るくして、テレビから離れて」って注意は画面にでるけど、最後に「よい子のみんなは、危ない真似をしないでね」とは言わないのだな。というか、相手が怪獣や怪人なら、残虐に倒してもいいのか?下手すると、子供向けヒーローものはみんなR15指定だ。


「ウルトラマン」。1999年は「ウルトラセブン 1999」の新作がリリースされていた。以前のオリジナルビデオシリーズを引き継ぐウルトラ警備隊の隊員構成だ。モロボシ・ダン(森次晃嗣)はそのまま歳をとった姿で登場する。地球人が好きなダンは、敢えて歳をとった姿をしている(という設定になっている)。普段は、カザモリ隊員(山崎勝之)の姿を借りている。98年にはキリヤマ元隊長役、中山昭二も亡くなって、最終話はそれを踏まえた話になってた。ダンのジレンマが織り交ぜられた名作であろう。ちゅうか、たぶん兄弟の中でセブンが一番悩んでるな。なお、盟友フルハシ隊員(毒蝮三太夫)は今では参謀である。
なんか、こないだビールのCMで、かつてのウルトラマン役の人たちが出てた気がする。

で、「ネオス」。このキャラクター自体は、ずいぶん昔から存在していて、平成3部作と言われる「ティガ」「ダイナ」「ガイア」よりも、ひょっとすると古いかもしれない。今まで遊園地のアトラクションとかで活躍していたネオスがついにシリーズ化されたというわけだ。

3部作、そしてネオスは、かつてのシリーズの「地球を救いにきた光の国の超人」というスタンスでなくて、「地球を救う力と出会った地球人」というつくりだ。ドラマ的にも、つい感動してしまった話もある。いや、幼い頃のぼくが見ると、たぶん「すごい」とか「かっこいい」という見方をするのだろう。「初代マン」「セブン」「ティガ」「ダイナ」「ガイア」は全話DVDで商品化されている。ぼくは、全部は持ってない。

今回主役ネオスのカグラ・ゲンキ隊員(高槻純)の「ウルトラマン80とか見てました(1980年作品)」というコメントを読んで、またしても、あう。今回、ミナト隊長を演じるのは嶋田久作、なんか「帝都物語」の怪人加藤の印象が強いのだけど、いいキャラだ。空に現れるウルトラ文字とか、戦いの時に伸身宙返りするのって、「新マン」だか、「A」だか以降の表現じゃないか?なんて思う。非常事態に対応するにしては、今回の人類側の組織「HEART」の制服は、なんだか紅白で、ピンポンパンである。セブン21ってのもちょっと好みでない私。


やっとこさ「ガンダム」。
ガンダムもシリーズが増えて、最初の「無印」ガンダムのことを、資料的に「ファーストガンダム」と呼ぶことが多いようだけど、今回のDVDの中にある富野監督のコメントにある「クラシックガンダム」という表現があらためて見直してみて、なんだか腑に落ちる。作画、作劇的に見て、やはり、古いのである。同時に監督の最近作の「∀ガンダム(ターンエーガンダム)」(1999年作品)の最終巻を見たからかも知れないけれど。

「∀ガンダム」の中で、この主役メカ、ターンAのことを、ほとんどの作中の登場人物がガンダムとは呼ばない。作中ではガンダムの歴史はもう数千年レベルの昔話になっていて、それは「黒歴史」と呼ばれ封印されて、だれもがそのことを知らないのだ。(その辺りが明らかになる終盤の盛り上がりは、それはそれでドラマチックなんだが)以前、コミック原作(機動戦士X(クロスボーン)ガンダム、作画 長谷川裕一、講談社コミックA)で、監督は「目が2つついてて、アンテナはえてりゃ、マスコミがみんなガンダムにしちまうのさ」というセリフを書いてたことがある。今回の作品でも、ホワイトドール(ターンAの終盤までの呼び名。なんだか「白い奴」みたいだ)のことを執拗に「ガンダム」と呼ぶコレン軍曹に対して、キエルのディアナに「ガンダムにおひげがありますか?」と言わせている。

ぼく(ら)は、何度も劇場で、再放送で、ビデオで、ガンダムを見ている。昔は、再放送を待たなければ、再び、まみえることはなかった。だけど、ヒットした作品なら一年待てば、どこかで再放送してた気もする。で、再放送を心待ちにしていたのだ。そんなぼく(ら)には、やはり、ヒゲのモビルスーツ、ターンAはガンダムの表象なのだろうか。

テープレコーダーが我が家に来た頃(1980)、音声だけ取って聞きなおしたり、ビデオデッキが来た時(1983)は、画像が傷むんじゃないか。というくらい繰り返し見ていた。タイマー録画してあるのを見るというのでなくて、画面に噛り付いて、リモコンの一時停止ボタンに指を置きつつ、CMカットしてエアチェックした日々。個人的にすぐ再放送。んん。

富野監督は、今回の新録特別版のライナーノートの中で言う。「オールドファンは”まんま”でないことにイラダツかも知れません。」たしかに、微妙な違和感を感じるものの、そこには「息吹」が感じられる。「流れ」とか「風」と言ってもいいだろう。

ああ、哀・戦士。テーマ曲を歌っていた井上大輔さんも亡くなってしまった(2000)。散り行く戦士たちに、心が震え、アムロの眉間にスパークが走ると、自分の頭の中で、何かはじけるような感覚がして、、、「ぼくは、とりかえしのつかないことをしてしまった、、、」

「ごめんよ。まだ、ぼくには帰れる所があるんだ。こんなにうれしいことはない。」というアムロ少年が、14年後にシャアと決戦する「逆襲のシャア」(1988年作品)の時代の彼に近い歳になっているぼくなのだけど。「逆シャア」も来春にはDVDで出る。もうビデオで散々見返してるのに、買っちゃうんだろうなあ。

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『ガンダムの現場から 富野由悠季発言集』氷川竜介、 藤津亮太編(キネマ旬報社、1800円+税)ファーストガンダムを巡る、 富野監督の想い、発言。
当時の世 相変わらず、二千円札と新五百円玉は自販機で使えない。
当時の私 なんか、話が長いわりに雑駁になっちゃいました。
で、買ったDVD。
「真ゲッター対ネオゲッター 1」2000円
「ウルトラマンネオス 1」5800円
「∀ガンダム 13」5000円
「仮面ライダークウガ 1」5800円
「機動戦士ガンダム I,II,III」各7800円
けっこう散財。

認めたくないものだな。自分自身の若さゆえのあやまちというものを。

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