(む}A bachelor's wallet

Date:Mon, 30 Oct 2000
lunar calender: 4 Oct

旧暦の10月は神無月という。全国の八百万(やおよろず)の神様たちが、出雲の国に出張してしまうかららしい。だから島根地方では「神有月」と言うのだそうだ。はて?貧乏神さんもこの時期はそちらに赴かれるのだろうか。謎だ。全国には一億二千万の人たちがいる。神様よりも多い。

「貧乏暇なし」という言葉がある。生活費と収入が切迫していて、働かなければ、即、暮らしに困るというケースのことだろう。幸い、私は、それほど切迫していない。どちらかいうと、暇が出来ると、かえって、お金を使ってしまって、貧乏になるような気がする。でも、「小金持ち、使う暇なし」なのも困る。いや別に、私は金持ちではない。

不景気で仕事がないという人も多いと聞くが、私の職場は仕事はある。幸い、残業代はちゃんとつく。もすこしランクが上がると、いわゆる裁量労働制が適用されて、残業代がつかなくなるらしい。「裁量」が利くほど自由度のある仕事かなぁ?と少し疑問である。

以前に、少し仕事に暇ができて、「定時退社キャンペーン」を、一ヵ月くらい続けたら、ほんとに基本給だけになって、少々、給与明細の数字がさみしかった。計算してみると、それでも、ふだん、一ヵ月に使っているお金より少し多かった。でも、その月は、早く帰った分、酒の量が増えて、赤字であった。

「生活残業」なる言葉を使う人がいる。そんなに生活費が掛かるものなんだろうか。先の月によると、私の場合は、残業しなくても生活に支障はないらしいので、私にはこの言葉の意味がよくわからない。たぶん、私は恵まれているのだと思う。でも、職場にいる時間が長くなって「残業生活」になるのは避けたい。

「サービス残業」なる言葉がある。なんらかの強制があっては「サービス」とは言わないだろうし、本来なら「サービス」は「無償」という意味ではないはずだから、変な言葉だ。なんとなく「ボランティア」と似たような意味のねじれがある。「ボランティア参加を必修科目とする」なんて、なんかあほくさい。なお、「サービス業」というのは、第三次産業であるが、当然、給料は貰う。

私は、当面の暮らしに困ってはいない。知らない間に給料が振り込まれて、知ってるくらいにお金を使ってたら、差引黒字で少しの貯金がある。「毎月計画的に貯金している」という人の感覚がわからない。「給料日前で、キュウキュウだよ」という人の感覚がわからない。「給料日だから、奮発していいもの食べよう」という感覚がわからない。私は、口座の残高の増減よりも、財布に少しのお金があるだけで平和だ。

だからと言って、金銭感覚に無頓着なままなのもなんなので、分析してみる。
生活の基本の「衣食住」。やはり、支出の中で一番大きいのは「住」か。(年金+保険+税金の天引き額の方が大きい気もするが。)生活費(家賃、年金、保険、直接税除く)に占める割合。

「住」。今、月に7万円くらい払ってるので、一日当たりおよそ2300円。まぁ宿泊料だと思えば安いか。でも以前に、上司のH野さんに「月に7万も賃貸料払うなら、マンション買ったほうがいい」と言われた。でも、私にはいまいち、持ち家願望というものがない。というか、住宅ローンとか、保険とか、年金とかが、あるかどうか分からん未来に期待してるようで、いまいち好かんのである。

「衣」はどうか。わたしは決してオシャレさんではない。だからかっこいい服を着てる人が多い街だと、なんだか場違い感がある。服を売ってるお店に行っても「なんで布切れにこんな値段がついてるんだ」と思う。まぁ、本を読まない人にしてみれば、私なんか、「なんで紙切れにこんなに金を使ってるんだ」ということになるだろう。なんにせよ、私は、コールテンがツンツルテンになるまで着つぶしてしまうので「衣」に金は使わない。(なんか、コ−ル天って言い方は、なんだかだな。コーデュロイ。)

「食」いわゆるエンゲル係数の分母の生計費ってのはどこまで含むのか、実はよく知らないのだけど、家賃とか、税金とかの支出を除くと、およそ30%のようだ。自炊すると、もすこし安く上がるのかしら。つうか、酒減らせって感じ。でも、自分ちで飯食う機会そのものが少ないしな。やっても、せいぜい趣味の料理って感じで、生活のためって感じにはならんだろう。「住」や「衣」よりも、「食」は、生理的というか、動物的というか。だからか私は会食が苦手だ。会食の間の人間的なおしゃべりも得意ではないし。(ネタなら独り言のように喋れるが)

「円盤」ってのはDVD。やっぱ単価高い。でも早送り巻き戻しから解放されるし、LDみたくでかくないのがいい。ビデオテープより経年劣化少なそうだし。しかし、この一年くらいで、LDって売り場が駆逐されちゃったね。レンタルで済ませば、もすこし安上がりなんだろうけど、私は買う派だ。

「本」はねぇ。なんでこんなに買うんでしょうね。人との会話が苦手なので、活字と対話してるのかもしれない。でも実は半分くらいはマンガである。ただ、マンガの単行本の単価は安い。結構労力かかってると思うのだが。部数の出てないマンガって、絶対無理してると思う。

ライフライン」は以前にも考察したが、ホームペ−ジのツッコミボタンで「一般家庭から見ると、電気の安さに愕然。冷蔵庫レスの威力でしょうか」というコメントを頂いた。なお、お風呂で半身浴に凝ってみても、水道代とガス代には変化がなかった。ガスは毎朝、茶を入れるようになって、前より使ってるかもしれない。水は、まぁトイレも洗濯もするし、なんだかやっぱり水道は生理的なものだな。水道電気ガスで、およそ支出の5%、消費税分だな。

「電話とネット」、まだフレッツISDNの経済的効果は請求書が来てないのでわからない。でも、この頃は、なんか、ふと調べたいことが浮かんだら、すぐ繋いでネットでサーチしてる。便利。というか、うれしい。実際は調べてもよく分からなかったりして、でも、すぐ調べられるってのが、俺的にうれしい。座右に辞典がある感じ。

こないだ知り合いに「独身貴族」認定されたのだけど、ぼさぼさの頭で、えり首の伸びたシャツと、膝の抜けたジャージを着て、部屋でビールを飲んでいる貴族はいないだろうと思う。

まあ、私の場合は、自動車なし、冷蔵庫も電子レンジもテレビもなし、携帯電話もなし、時計もなし、手帳もなし、人付き合いもなしなので、使うお金が少ないのかもしれない。本やビデオや酒、あとは少しのネット生活。サーファーでもダイバーでもなく、海辺で今にも波にさらわれて崩れそうな砂のお城でポチポチとネタを書く奇族。

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当時の本 『バガボンド 8』井上雄彦(モーニングKC,524円税別)武蔵と胤舜の対決に決着。交錯する魂。
当時の世 週末、雨が多い気がする。
当時の私 風邪をひいていたらしい。

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