[*]Head or Tail

Date: Sat, 14 Feb 1998

Q. いわゆるアダルトビデオと裏ビデオはどうちがうのですか?

A.はじめにお断りしておきますが、

ビデオには表も裏もありません

旧来のアナログオーディオカセットや、アナログレコードにはA面/B面というのが存在しましたが、ビデオやCDにはありません。まだ普及率が低かった頃は、ビデオカセットの説明書には「裏返さないで下さい」と断り書きがあったのですが、近頃はそれが省略削除されてる製品もあります。

CD Singleなんかで、かつてのシングルレコードのように2曲構成だったりすると、 Side Bではなく、C/Wと表示されます。私はC/Wと書かれると、長野県黒姫在住の作家ニコルさんを想起してしまって一人でうけてしまいますが、ここでいうC/WってのはCoupling Withの略です。そろそろ、「B面コレクション」と銘打ったアルバムも意味不明になりつつあります。

次に、お断りしておきますが、     

出演してるのが子供でもアダルトビデオであることがあります。
といってもチャイドルのプロモビデオではありません。

この手のビデオはロリ−タ趣味の大人向けのものです。一般にはロリコンと呼ばれる人たち向けです。ロボコンと一字違いですが全然違います。ロボコンと言ってもNHKでやってる高専や大学の機械科の人が頑張ってるやつではなく、デンガラがるやつです。

ロボットの語源であるチャペクの戯曲の中の表現では、どちらかというとアンドロイドとか人造人間といったニュアンスらしいので、ロボコンよりもロビンちゃんの方が、ロボットの元の意味に近いです。


さて、裏と表の問題でした。しかし、近頃世の中が乱れてるので、昔なら「もう、これは裏モノでしょう。」というような写真が掲載された雑誌がコンビニに並んでます。困ったものです。

裏モノは倫理委員会いわゆるビデ倫を通さないという解釈でいいのではないでしょうか。つまり、倫理的判断によって映像になんらかの修正あるいは削除が発生してたりしないものは、裏モノと言っていいでしょう。流通経路だけだと、裏ルートを経由してきた表モノもありうるので注意が必要です。

「無修正」をうたっていても、映像全体が不鮮明な上に、音声にもノイズが乗ってたりして、「あのさぁ、いくら無修正だといっても、画像補正くらいちゃんとやっといてよ。」となる場合があります。

「これは編集前のモノが流れたものです。」と言わんばかりに画面の隅っこにタイムカウンターがチロチロ動いてる場合がありますが、もとの素材にはタイムカウンターなんかないはずです。発見された古文書に「紀元前1世紀 何月何日」と日付が書いてるくらいにトホホです(だって、紀元前ってのは紀元後に作られた言葉でしょ)。

でも、このカウンターを読みながら見ると、女優さんの過換気症候群によるひきつけと思われる、いわゆる「イク」前の呼吸周期や、男優さんの固有振動数を測定することができるので、それはそれで役に立ちます。

パッケージにも用心しなければなりません。スチール写真を撮る時用の衣装や照明を使うので質が違います。実際のビデオの画像がその鮮明度で映っているという保証はありません。おまけに、ビデオ本編には出てこない写真なんかがあって、「おい、例のシーンはどこにいったんじゃぁ」ということもしばしばです。いわゆる「パケ写にだまされた」というやつです。一応、この手のものに手を出す人は後ろめたくもあるのでJAROってなんじゃろ〜に誇大広告として訴えることは稀です。

「パッケージ写真はイメージです。ビデオの内容と一部異なる場合がございます」

と注意書きひとつでも入れておくと誠意が感じられて良いかもしれません。余談ですが、私は昔、スチール写真は鉄製で重いのだろうか。それとも、何処ぞの盗撮かと思ってました。なんのことはないsteelとstealは知っていても stillに思いが至らなかっただけでした。

裏ってのは、流通や審査の過程を違えたアダルトの一分野なので、この二つは分けられるものではありません。裏はアダルトの一部です。

もっとも、私に言わせれば、なんらかの経路で流通してしまえば表です。裏ってのは、みなさんの頭の中で育つ妄想のことです。私なんかは、棚に並んでるタイトルを見ただけで、監督モード入って勝手にストーリーやシーンを構成してイッてしまうので、いざ、そのビデオを見ても「そこはそうじゃないだろう」とか「ほほ〜そう来ますか」と評論家モード入ってしまうのでエロには役に立ちません。

「その時、私は獣になりました。」「本能の命ずるままに…」冗談ではありません。人の言葉で言い訳してるかぎりにおいて、獣でも本能の命令でもありません。一連の行為に要する時間の長さはヒトがあらゆる動物の中ではおそらく群を抜いて長いと思われます。メスに蹴飛ばされないように、隙を見て瞬間芸で交尾する動物もいるくらいです。子作り以外でする頻度もそうでしょう。中にはボノボみたいに「やぁ」「こんにちは」って感じでする方々もいますが…

オスが事を致したあと、急速にさめるのは、臨戦態勢にすぐ復帰しないと、他のオスという外敵がくるからとか、他のメスのところに行ってダブルブッキングをこなさなければいけないからとかいう説があります。逆にメスが事を致したあと、余韻にひたるのは、取り入れた精子をこぼさず妊娠率を高めるためだとか、オスと違って数打ちゃ当たる方式ではないし、孕んでしまうと、おなかの仔によって行動に拘束を受けるので、慎重に吟味する傾向があるからとかいう説がありますが、これも、多少、人の頭による言い訳くさいところがあります。

裏だと言っても、所詮、ヒトが考えて、ヒトのやることですから、ここは、最近のエコロジーブームに乗っかって、自然観察系のビデオ棚にコソっと入れておくと、表でも流通できるかもしれません。『ホモサピエンスの生態』『人の神秘』とか。もっとも、裏で流して後ろめたさがある方が、そそるとか前戯的効果があるというのなら、おそらく、その感覚はヒト固有のものに違いないのです。だから、想像こそがウラだと私は言うのです。


この文章はアダルトものに対するイメージです。実情とは一部異なる場合がございます

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当時の本 『発情装置 エロスのシナリオ』上野千鶴子(筑摩書店,1900円)フェミニズムで著名な上野さんが現代の発情の仕組みを論理的に解いてくれます。帯に曰く「人はなぜ欲情するのか?」おいらはこの手の「○○はなぜ××なのか」という「なぜなに」シリーズに読書欲がそそられるのだ。
当時の世 バレンタインデーだからだろうか、コンビニや酒屋でカップルをよく見かけた。
当時の私 「でもさぁ、君ら、もう告ったあとでしょ」「あのさぁ、君ら、どう見ても未成年みたいだけど、酒買って何するつもり?」と危うく死ね死ね団(@稲中)になりかけた。

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