Date: 1997/08/03
普通より文章を打つ人としては、携帯機といえどもタッチタイプのできるキーボードが欲しい。東芝のリブレットや、富士通のBIBLO NCにもすこし引かれることもあったが、私としては、別にウインドウズマシンでなくてもよく、軽快なエディターがすぐに起動して、簡便に通信できれば良かった。
というわけで、こないだまで、ポケ3(OASYS Pocket 3)で頑張っていたのである。電源オンですぐ文書を打てる。パソ通もできる。しかし、時代の流れに伴って、オアシス独特の操作体系が歴史的重みによる足かせになっていたり、内蔵モデムでは2400bpsまでの速度しかでなかったりしたのである。
フラッシュメモリーカードが使えて、もう少し速いモデムで、キータッチ音がもう少し、静かならなぁ、と思ってるころに、NECのモバイルギアが出てきた。かなり触手が動いたが、横幅の大きさと、ちょっと変則的なことをしないとDOSに降りられないらしいということで、見送ったのであった。
ぼくは別にオアシス方式にこだわっていた訳でなく。親指シフターでもないので、何もオアポケにこだわる必要はどこにもなかったのだが、ミニノートタイプのウインドウズマシンでは、わざわざDOSで運用するのもなぁ。とか、HDDは機械的な駆動部があるから気をつかう。とか、Winなんて裏で何やってるかわかんねぇから信用ならない。なんてことを言いながら、他の機械は選考から外れていくのであった。
そうこうしているうちに、やっとこさ、INTERTopが出た。
販売開始の頃は品不足で店頭で説明を聞くだけに陥っているお客さんが多かったようだ。みんな、取り合えず、お約束のように聞く。
「親指モデルはありますか?」
この言葉を発する人のうち、何割が正真正銘の親指シフターかどうかは分からない。だが、多くの人はJISキーボードモデルを購入しても、ローマ字カナ入力をしてるんじゃなかろうかと思われる。親指シフトモデルとて、英字の並びは同じだから、ローマ字カナ入力可能なはずである。(INTERTopではソフト的に親指にできるらしい。しかし、ニフティのフォーラムなんかみると、INTERTopの親指入力は従来品と比べると出来が悪いという評が出ていた。)
INTERTopは画面が広い(対オアポケ3)。カラーだ。ぼくのように文字依存性が高い人の場合は別にこれといってカラーである必然性はない。モノクロモデルも開発してたようだが、途中で凍結したみたいだ。広くなった分、奥行きはでかくなった。でも横幅はポケ 3よりも小さかったりする。
キーボードはタッチがやわらかく、音も小さくなっている。初めて使った時はフニャフニャして変なの、と思ったがこちらに慣れるとポケ3のキーボードはカシャカシャとうるさい。INTERTopはLCDパネルの取り付けに二重ヒンジを採用していて、クルリと回してペンオペレーションできる。360度回した時はキーボード入力がオフになるけど、手で持っていたら裏面がクニュクニュした感じになるので変な感じである。
カラーで広い画面になったのだけれど、如何せん、明るいところで視認性が極めて悪い。タッチパネル表面の反射というか映り込みがきつい。明るい部屋で白っぽい服を着てるような場合でさえ辛い。屋外ではもうトホホである。もっとも、ぼくは大概、室内で運用するので、acceptableな不便であるが、今後の改良が望まれる。
この視認性低下の原因の一つになっているタッチパネルではあるが、この機能はなかなか面白い。うまくソフトが対応してくれていれば愉快なユーザーインタフェイスである。ただし、ぼくは内蔵のペンを使わずに、もっぱら指の爪の背中で弾くように押す。いちいちペンを抜くには使用形態上、不自然な感じがする。ザウルスのような大きさなら結構、手で持って作業するのでよいが、INTERTopは概ねキーボード入力を使うので、手前奥のホルダーに取り付けられたペンを抜くことはあまりない。
ろくに使用記を書きあげないうちに、model20が出てしまった。見た目に大きな違いはなさそうだけど、使い勝手は向上しているような宣伝文句である。今回のバージョンアップはダウンロードしてからというのではなしに、12MBのフラッシュメモリーで提供される製品になるらしい。これを使うと、コンパクトフラッシュの容量と、ソフトの見た目の使い勝手は従来のINTERTopでもmodel20相当になるそうだ。
今回の新製品では画面の視認性やバッテリライフの改善もされたそうだが、普段はたいがい室内で使用するし、自室でも事務所でもAC電源が使える環境にある私としては、特に問題はない。バッテリ切れにヒヤヒヤしながら文書を書くというような使い方もしていない。画面の視認性はたしかに、事務所の電灯をつけて、窓のブラインドも全開して、かつ、自分が白の文字通りワイシャツを着てたりすると、ツライこともしばしばあるが、概ね忍耐可能なレベルである。
ただ、今年の夏に帰省したおり、「新幹線の中で使ってみるべ」と持ち込んだのだが、電池切れの問題は発生しなかった(といっても、新横浜-新大阪間ずっと使ってた訳ではなく、本を読んだり、窓の外をぼんやり眺めつつ、思いついてはポチポチ打つレベルだったけど)。しかし、視認性の問題はかなり深刻であった。窓からの光が映りこんで、ちっとも見えないことしばしば。「トンネルに入っちくり〜」と思ったりする。おまけに映っているのは一つ後ろの座席の窓で、そこのお二人は超〜ラブラブ〜な感じだったので、つい私なりに気を使って、っていうか〜、要は「カーテン閉めて?」とお願いできなかったのである。とりあえず、model20に即買い換えとかアップグレ−ドキット購入の予定はない。
1997/11/12
1998/1/24撮影 |
スクリーンセイバーのタッチおじさんが暴れまわった後に、きれいな富士山が現れた。
絶景かな。絶景かな。