Date: 1996/09/08
現代の日本では人の骨を直接見る機会はすくない。事件に巻き込まれるか。解剖の講義を受けるか。火葬場に行くかしかない。
直接は見られないけど間接的には見えたりする。X線とかいうのを使うのである。
小学生の時に自転車に乗っていたら、真横から小さい子が飛びだしてきてぶつかって転んだ。小さい子は尻もちをついて泣いていたが、こっちは頭を打ってもだえていた。そこへその小さい子の近所のおばちゃんらしい人が出てきて「ちゃんと気をつけて自転車乗りなさいよっ!!この子のお母さんに言っておくからねっ!!」と怒鳴られた。「こっちは頭がズキズキするのに怒鳴らんでもええやんか。それに真横からぶつかって来たのはそっちのかわいいお子様やないの。」と思ったが口にだす元気はなかった。
とちょっと冗長な前振りであったが、それで整形外科に行って、頭のレントゲンを撮ったのである。お医者さんは「別に損傷してる様子はないから大丈夫だよ」とおっしゃった。ヒトの頭蓋骨は幼いときはゆるゆるである。あまりガッチリしすぎると、ヒトの赤ちゃんの頭は他の動物に比べて大きいので、お母さんのおなかでひっかかってしまって、出てこれなくなるからだそうだ。成長と共にがっちりと組合わさって縫合したような溝ができる。頭蓋骨の中に豆を入れて煮ると豆が膨らんで、その縫合線のところでまるでジグソーパズルのようにはずれると聞いたことがある。ぼくの頭蓋骨は2ヵ所ほど薄いところがある。おかんから引っ張り出される時に、お医者さんが治具を引っかけたところなんだそうだ。
で、やっとこさモノの紹介であるが、本物の頭蓋骨はハンズに行っても売ってないので、仕方がないので模型の頭蓋骨を買った。ちょっと縮小されているのか。それともぼくの頭がでかいから相対的に小さく見えてしまうのか。小振りである。
輸入物らしいので英語がチョロチョロ書かれたインストを見つつ組む。当然、英語は読まない。図を見れば分かる。多少、上下の歯は似たようなのがたくさん並んでいるのでまぎらわしい。
いまいちパ−ツの嵌合がよろしくない。「さすが、アメリカ製。おおざっぱな作り」と余計な偏見が頭をかすめる。「パ−ティングラインくらい消せよ〜」と突っ込みたいところだが、やすりがけしたのでは、せっかくの表面の凹凸のモ−ルディングが消えてしまう。ということで、やむを得ず素組みだ。骨らしい塗装をする技術はぼくにはないので、放置して埃をかぶらせたり、ベランダで風雨に晒したりして、質感はでないもんか? と思っている。なんのことはない、単なるほったらかしの風葬である。そもそも、「されこうべ」というのは「晒された頭」からきたという話だ。