(む}Traveling

Date: Mon, 13 Feb 2001

思い起こしてみると、学校の遠足とか、クラブの遠征とか、仕事の出張とか、そういうのを除くと、私は旅行らしい旅行をしたことがないのではないか。

頭の中で、
「しらな〜い〜ま〜ち〜を あるい〜て〜み〜た〜い〜」
と、どこかで聞いたことがあるようなフレーズが流れそうになる。と、思いきや、
「コアラ〜の〜マ〜チ〜を た〜べ〜て〜み〜た〜い〜 眉付〜き〜コ〜ア〜ラ〜に 会〜い〜た〜い」
とか、
「しらな〜い〜ま〜ち〜を あるい〜て〜み〜た〜ら〜 あ〜る〜き〜つ〜か〜れ〜て 尻〜痛〜い」
なんて、どうでもよい替え唄が浮かんできたりする。

旅行というのに縁がない。縁がないのなら作ればよさそうなもんだが、生憎、億劫で引っ込み思案で、人見知りする(ふつう、こういう評価は人にされるものであって、自分では言わないのだが、誰も言わないので自分で言うのである。)ので、計画をしようというところで挫折する。私の計画表には、まず「「計画をつくる」計画」という枠を確保しなければならない。普段から手帳や時計も持たずに生活している体たらくなのだから。

なにも、予定や計画がないと旅にならないわけではないだろうから、「ぶらり」と出掛けても良さそうなもんだ。はて、どれくらい出掛けると、旅になるのだろう。日帰り旅行にしても、それが旅になるのは、どういう状況なのだろう。などと考える。どうせ考えるなら、電車なりバスなり飛行機なり乗ってしまえば、旅になる気がするのだけど、部屋で、へたりこんで考える。

一応、私は自動車の運転免許を持っているのだが、車は持っていない。かれこれペーパードライバー歴も10年くらいになるので危なっかしい。ドライブを楽しむとか、自動車が好きだとか、そういうわけでもないので乗ってない。私が車を動かすというと、せいぜい、スーパーカー消しゴムの底面にボンドを塗ってツルツルにして摩擦係数を落とし、ノック式のボールペンで弾いて走らせるのが関の山である。

なにか事故に遭って、意識不明の重体になって、「なにか身元を示すものは、」なんて時に役に立つかもと思って、一応持っている。だから、怪しげな物を購入して持って帰る時なんかは、事故にあって意識不明の重体にならないように、細心の注意を払わなければならない。意識不明の重体になって、なにか身元を示すものは、と持ち物チェックされた時に、怪しげな物品が出てきては、私が怪しい人になってしまって、被害者のはずが、被疑者になってしまう恐れがあるからである(ないない。というか既に十分怪しい)。

天災は忘れた頃にやってくるし、人災は不慮の事故である。備えていても、憂いはあるし、石橋を叩いていては渡れない。

そう、話題は「旅」についてであったはずだ。私の話は、しばしば、横道に逸れたり、脱線したりする。こんな私には、やはり運転手をさせては、いけないのではないかと思われる。

いきなりお泊まり一人旅デビューってのもなんだ。メランコリックなハートブレイク自殺願望者と思われるとなんなので(昔のドラマやマンガのステレオタイプの影響を受けているらしい)、とりあえず、日帰りを考える。私は散歩者であるから、しばしば、近隣の沿線ならば、適当に、電車やバスに乗ってしまって、適当に降りて、ウロウロしてみたりはする。しかし、それは旅ではない気がする。

では、時間か?朝出掛けて、昼間は目的地で散策し、晩に帰ってくる。それくらいのスパンがあれば旅になるのであろうか。んん、だとすると、片道2、3時間かけて通勤してる人だと、毎日が小旅行ではないか。ごくろうさまである。

私の通勤時間は30分程度なので、とても旅とは言えないけれど、時折、読書に没頭してしまったり、電車で寝入ってしまったりして、降りるべき駅で降りるのを忘れてしまって遅刻したりして、遅刻の準欠勤を振り替えるのに年次休暇を取って、取得理由を「国内旅行」としてみたりする。私の年次休暇の使用の98%くらいは遅刻の振替だったりする。もっと有効に(いや、十分、今でも有効だが)使わなければなるまい。

やはり、丸一日くらいかけて、「行き先」があれば、旅かもしれない。いや待て、「行くあてのない旅」っ言葉もあるぞ。「旅支度」をすれば、旅かもしれない。「バナナがおやつに入るかどうか」「水筒の中に、お茶以外のものを入れてもいいか」悩めば旅かもしれない。どうやら頭が遠足の時代から進歩していない。そうだ「遠足」だ。「遠」くないといけないのだ。現地で「足」を使って歩かないといけないのだ。

なんの結論も定義も出ていないのだが、「旅」という漢字を習った時、「族」という漢字と、どっちがどっちか分からなくなったことがあったのを思い出した。

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『「坊っちゃん」の時代』関川夏央、谷口ジロー(双葉社,857円+税)千円札のおじさんは、神経症で酒乱だ。明治の時代の閉塞感。
当時の世 オアフ沖で、原潜が漁業実習船に衝突。
当時の私 連休は旅をせずにボウリングをした。アベレージ 139。ハイゲーム 179。は良いけど、一人で放ると、1ゲーム10分。30分で1500円×3日間は、ちょっと時間単価割高感。

ハイキングとピクニックの違いもかねてよりの懸案事項であるのだけれど、またしてもDictionary.comを引いてみると、

picnic ... A meal eaten outdoors, as on an excursion.
hike .... A long walk or march.

どうやら、出かけた先で屋外で食事をするのに重きをおくと、ピクニック。途中の歩きに重きを置くと、ハイキングのようだ。私的には、ハイキングの方が、ピクニックよりも行程の高低差が大きいような気がする。