(む}Every day, month, year.

Date: Mon, 17 Sep 2001

さて、近頃、なにかしらの名簿が流出してるのか。謎の電話がかかってくることが多い私であります。多くが、投資の案内だとか、講座の案内だったりするのですが、最近、「節税対策のために、マンション購入など、お考えではありませんか?」ってのが増えてきた気がする。去年までは、そういうお電話は受けたことがなかったので、新しい傾向である。

しかしだ。当の大家さん本人が1Kのアパートに借家住まいってのもなんだ。金利が低いから、借金して大きな買い物をするには得だと言っても、あまりに大きな買い物だ。毎月高い家賃を払い続けるくらいなら、いっそマンションでも買ってしまえという説も聞く。震災でおうちが瓦解してるのを見てる私としては、あんまり持ち家信仰がない。私の実家は、市認定の半壊のまま暮らしている。半壊と言っても、ちょっと歪んで、戸の開け閉めがしづらくなったり、壁が柱と微妙にずれて、長屋の隣の家が見えるくらいなもんである。

日用品の値段がべらぼうに高いと、生活に支障が出る。日用品である家はなんだかべらぼうに値段が高い。私の家賃は7万円だから、一日当たり、2300円だ。休みの日に、お日様が高いうちからビールを3リットルくらい飲んだとしても2000円かからないのである。それにさすがの私も毎日、3リットルは飲まないわけで(ま、その半分チョイくらいは飲むが)家買っちゃってローンとなると、月にいくらくらい払うものか、よく知らないけど。んん、高いなぁ、家は。と思う。

私は、どっちかいうと、金銭感覚に無頓着である。自分の財布にいくら入っているか、よく把握していない。財布を落として届けられたりすると、中身の確認がされると聞いたことがあるが、私は私の財布の中身を把握してないので、確認されても分からないだろう。これでは、おちおち財布を落とせないというものである。

そんな私だから、普段、いくら税金払ってて、いくら雇用保険とか、厚生年金とかに持っていかれてるのか、さっぱり分かっていない。こと、給与明細が社内ネットのホームページで確認する方式になって、明細票を紙で貰わなくなって、当の本人の勤務形態もいわゆる裁量労働制になって残業時間と関係なくなってしまったので、ますますもって無関心になっている。そんな私はしばしば、「口座に金があっても、財布に金がない。」という状態になって困窮することがある。口座の残高を見てもそこに実感がなくて、でも、銀行がつぶれたら、このお金いきなり無くなるんだろうか。たしかいくらかは保護してくれるんだよな。なんて思う。

別に意識的に貯金してるわけではない。なんだか溜まっていっているのである。私には備蓄という思想がないのではないかと疑っている。なにせ、冷蔵庫がない。インスタント系の乾物なら、冷蔵庫がなくても保存がきくではないか。と思っても、なんでか一食分しか買ってこない。二食分買っても、すぐに次の食事で食べきってしまう。

保存という思想がない。なんだか食べきらないものを買ってくるのがもったいない気がする。

別に保存してるわけではないのだけど、一度読んだ本やCD、ビデオはなかなか捨てない。みんなどうしてるのだろう。捨てたり、売ったりしてるのだろうか。棚にズラッと並べて背表紙を眺めると、内容が反芻されて良い。貴重な部屋の収納の中に、箱に入れたきりになってる本がある。そいつらのせいで服が入れられないので、窓のカーテンレールや、床に服が散乱する。

こうなったら、もすこし大きい部屋に引っ越すか。一念発起して、捨てにかかるか。

以前は、出てきた食べ物は全部食べなきゃダメだと思っていた。買った本はずっと大事にしなくちゃと思っていた。飲み会で、みんながお喋りに夢中でテーブルの上に食べ物が残っているのを見るといたたまれなく思っていた。

でも、この頃、すこし、自分も残すことや捨てることができるようになった。毎日、生き切りたいと思っている。それにしても、「節税」って変な言葉だね。

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『オトコとオンナの深い穴』太田垣晴子(メディアファクトリー,1000円税別)『ダ・ヴィンチ』で連載されてた、セイコさんの性風俗取材記。表紙の「四十九手」の絵が、あっけらかんと、こっぱずかしい。しかし、某社の柔道の技を流してたCMが想起されるのはなぜだ。
当時の世 台風もすごかったが、米国同時多発テロはもっとひどいか。
当時の私 台所の流しをいつもより余計にしっかり洗ったら、水の流れがよくなって満足。と、書いた当日も、なにやら英語の講座だか教材だかの勧誘の電話がかかってきた。

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