(む}I can't help smiling

Date: Mon, 5 Feb 2001

(笑)という表現が一般化したのは、いつの頃からだろう。

一般化というのは語弊があるかもしれない。でも、日本語で、パソコンで電子メールを使う人の間では、かなり普及してるのじゃないかと思う。顔文字もそうだ。 (^_^) などの顔文字辞書なるものも存在している。

やはりこれは、漢字を訓読みして日本語に吸収同化させてしまった日本固有の現象なんじゃないかと思う。PC文化の先進国なアメリカだと、 :-) になるのかな? アルファベットな国だと、「変換」なんていう作業はないのだろうから、当然、顔文字辞書もないだろうな。汗汗な (^_^;) なんて、マンガ文化が前提でないと、多分、理解不能だと思う。

というか、マンガ、アニメ表現では冷や汗タラリ表現は、かなり過剰になり(なんていうと、そもそも、アニメキャラの目は過剰にデカイ)、実際、自分が冷や汗タラリの場合は、わきの下のようで、額ではない気もする。というか、そもそも汗かきなんで、温度調節用なのか、冷や汗なのか、脂汗なのか、わからんという説もある。

日本風の顔文字が使われだしたのは、15年くらい前のパソ通(パソコン通信)なんだそうだ。じゃぁ、(笑)が使われだしたのはいつ頃からか、あいにく私は詳しい資料を持っていない。

笑うということは、台詞のようで、ト書きのようで、不思議だ。私は、本物の台本ってやつを見たことないが、どちらの範疇で書かれてるものなんだろうか。今更だけど、「ト書き」ってのは、「…ト両人歩み寄り…」などと脚本で、台詞の間に動きや演出の説明をした文章のことだそうだ。(新辞林による)

私思うに、そもそも、インタビュー記事なんかで、録音テープから原稿を起こした際に、インタビュイー(interviewee それは、インタビューを受けてる人)が笑ってるのを、そう表記したのが初めなんじゃなかろうか。曖昧に笑って無言で答えられるケースなんかで。言葉で説明しようとしない辺りが、日本的なのかもしれないが。

それがいつの頃からか、自分の発言の中にまで使われるようになったのではないか。自分の発言に対する(笑)はどこか、自嘲的で、自棄的な気がする。もしくは、自分のことなのに、ひとごとのような。んん、私も時々、人から「自分のことなのに、他人事みたいな言い方する」と言われる。良く言えば、「自分を客観視してる」のかもしれない。でも、「感情が足らない」のかもしれない。しかし、私は(笑)を使っていない。

(笑)が、さらに激しくなると(爆)であるらしい。(爆笑)の省略系なんだろうか。私のネタで爆笑してくださっているなら、非常にうれしい。しかし、(爆)である。爆発の「爆」である。先方は横隔膜や肺胞や声帯を断裂してるかもしれない、危険だ(まず、そんなことはないと思うが。)その昔、「8時だよ!全員集合」を見ていた幼い私は、笑い過ぎて横隔膜が痙攣し、息を吸えなくなった経験がある。そういやドリフのコントを集めた特番は「ドリフの大爆笑」でしたな。

さらに笑いが激しくなると(核爆)と書かれるケースもある。「核」である被害甚大である。しかし、それはなかろう、私のサイトは月にのべ1000アクセスあるかないかだし、メルマガの読者数だって100をちょっと超えるくらいなのだ(見て下すってる方々、ありがとうございます)。しかし、「核」である。布の少ない水着や下着を「ビキニ」と言ってしまうくらいに衝撃的である。

そう、あれは水爆実験が行われていた、ビキニ環礁に由来する名前なのだ。別に、バミューダとかカプリみたいにリゾート着という意味合いではないらしい。肌の露出度が衝撃的だったのだろう。なお、確かに、何万人と言わず悩殺されてるかもしれない。言うまでもなかろうが、私の茶化しと、実際に爆弾で命を失った方を等価につないではいけない。不謹慎なのは私である。

(笑)は笑えているか。多分、笑えているのだろう。でも、(笑)から想定される笑い顔は、どういうものだろう。いや、このネット世界では笑う前のデフォルトの素顔さえ知らないことがあるというのに。(デフォルトってオタク用語だな。インストールはだいぶ一般用語になってるけど、日本語では一般にソフトの導入にしか使わない。ハードの設置でもインストールだったと思う。言うまでもないが、コンタクトレンズの話をしているのではない。)

ペーパードライバーの私がたとえるのも妙だが、自動車のパッシングライトや、ハザードランプの使い方にも通じるものがある。道をゆずってくれるのかと思ったら、「どけ!」って意味だったり、「入れてくれて、ありがとう」かと思ったら「止まりまっせ」って意味だったりして。いや、あちらは、まだ、私より器用な人達が、自動車という大きな身体を手に入れて、顔とは違うランプでコミュニケーションを取ろうとしているのであるし、シチュエーションもふまえれば、ほぼ意味は、一意に決まる(でも、そんなサイン、教習所で習った記憶はない)。

それに対し、「笑う」というのは、その意味するところが、微妙でかつ多様なのだ。一意には決まらないのだ。果して、相手がどう「笑って」いるのか、皆目、見当がつかないのだ。ネットでなく、面と向かって、ご本人の笑顔に出会っても、分からないことだってある。

だが、しかし、笑ってるのだ。たぶん。おもしろいのか、おかしいのか、馬鹿にしてるのか、蔑んでるのか。そう。少なくとも、反応があるのだ。私は、「嫌いだ」って言われるより、無視される方が、さみしいと思う。「好き」の反対は「嫌い」でなくて、無関心に離れていくことだと思う。

いや、あんまり「嫌いだ」と言われると、そらヘコむんだろうけどね。ん、笑えんか?すまんのぉ〜

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』鴻上尚史(講談社,1400円税別)どうして、みんなヘアスタイルやメイクやファッションのように、声や身体や言葉に気を使わないのでしょうね。
当時の世 日航機ニアミス事故。
当時の私 DVDプレイヤーに缶ビールかけちゃって御臨終。まだ見てないソフトもあるので、週末新規購入。4万円散財。

別に私宛に(笑)や顔文字を使ったメールをよこさないで下さいっていう意味ではなく、かえって使われた方が、資料が増えて勉強になると私は思っているですよ。

職場で業務の日誌に(笑)を使う人がいて、さすがに、「業務文書に(笑)を使うのは適当ではありません」と注意されてました。なお、私の文書は、「ダラダラと書かれていて、論旨が不明瞭です。」となります。