また、駄洒落で恐縮なのだが、サビを浮かせて斜めになりつつ立っている棒が目に入ったのだ。
左隣の棒は標識を掲げて、仕事にいそしんでいる。
右側の背の低い棒はおそらく、ガードレールの支柱(レールなし)だと思われるが、彼は彼でこの角を守るぞとふんばっているように見える。
すでに職務を終えたが、切り倒されることもなく、かといって何処かに行き場があるわけでもなく。佇んでいる。
1998/6/28 東京都町田市
経年変化で文面が蒸発してしまっている。「ところで、あなた誰?」と思ったが、格好からしてシロアリさんであろう。
指のついた手が不思議だし、駆除される側である彼が自分でにこやかに駆除業者を紹介するだろうかというのも疑問だが…
全てが、蒸発して真っ白になるその時まで、もとが白い彼は消えることができないのである。
1998/6/28 東京都町田市
太子さまが、サビを浮かべつつ、ウインクしながらにこやかに笑っていらっしゃる。
太子さまなだけに、10人くらいのお金に困っている人の訴えを同時に聞くことができたのだろう。
一万円札が太子様から諭吉先生になってから15年くらいだろうか。ということは、高校生以下の子は、物心つくころには既に、諭吉先生だったのか。
なんだか、急に自分が年を取った気がした。ところで、今、太子の一万円札を見ると、大きいよね。
看板を直す余裕も無いのにお金を貸せるのだろうか?
1998/6/28 東京都町田市
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