(む}In the pocket

Date: Mon, 06 Jun 2005

ポケットに手を入れて歩く人や、話す人というのは、手の内を隠そうとしている、という説があるが本当だろうか。単に空間に手を出していると手持ち無沙汰なだけなのかもしれない。

天秤座の人が、物事をはかりにかけるとか、亥年生まれの人が猪突猛進するとか、AB型の人が二面性があるだとかいう類のお話なのではないか。常にヘッドホンをしている人は、人の話を聞く気がないというようなお話なのではないのか。という疑いを私は持つのであるが、それは、さておき、私は普段からポケットに手を入れて話したり、歩いたりする人に私は違和感というか、違う文化のようなものを感じるのである。

さらにさておき、ポケットの本来の役割は手を入れるのでなくて、物を入れるためであろう。しかし、ポケットに物を入れると、シルエットが崩れるということで、ポケットに物を入れない文化の人もいるようだ。

私はポケットに物を入れる人である。そして、およそ、普段、どのポケットに何を入れるかが決まっている。普段と違う場所に入れると、身につけているものであるにも関わらず、モノは一瞬、行方不明になり捜索願が脳内に出されて、あたふたするのである。あたふたという擬態語は、なぜに、あたふたなのか知らんが、いかにも字面があたふたな気がする。慌てふためくの略だとも聞くが、一つ目の「た」は「て」が転じたのだろうか、慌てたから。

ズボンの左前のポケットには、鍵と歩数計が入っている。歩数計は時計も兼ねている。歩数計については、先にネタにするつもりだったのだが、もう1年以上使っている。また別の機会に述べたいと思っている。

右前のポケットには携帯電話が入っている。私が携帯を持つようでは、携帯電話市場も、いよいよ飽和してしまったか。という感がある。ほとんど着信しないのであるが、私のことだから、持ってない時に鳴るに違いない、という確信めいた不安があり、持っている。これについても先に述べるつもりだったのだが、不安は的中せず、使っているというより、1年以上、保有している。

右の後ろのポケットには小銭入れが入っている。しかし、小銭入れであるにも関わらず、しばしば、小銭が入っていない。そのため、私は、しばしば、自動販売機の前で途方に暮れる。歩数計によれば、およそ50歩を要したのに用事を済ますことが出来ないのである。またトボトボと50歩戻って、鞄から札入れを出さなければならない。

しかし、札入れを開けると、そんな時は概して、万札しか入っていない。両替してもらうか、お金を下ろしにいくか、だれかに小銭を借りるか、あきらめるかしかない。あきらめられるくらいなら、初めから我慢すればいいのにと思う。

バッグでも、およそ、どのポケットに何を入れるかは決まっている。なので、たまに、出張などのため、普段と違うバッグを持つと、何をどこにしまえばいいのか分からなくなる。分からないので小分けにせず、せっかくバッグの中には仕切りやポケットがたくさんあるのに、袋に必要なものを一つにまとめてドサっと入れたりする。

さらに出張の時、困るのはスーツのポケットである。私は普段、カジュアルな、というほど格好良くないので、普段着で仕事をさせてもらっているので、出張の時くらいしか、スーツを着る機会がないのである。そして、そのスーツの上着には、やたらとポケットがあるのである。どのポケットが何用なのか。誰か私に教えていただきたい。

まず、胸のポケット。これはたぶん、チーフを飾るために違いない。もしくは、なにか固いものを入れておいて、もしもの時の防弾チョッキの役割をするのだ。BANG!!「大丈夫か!!」「これのおかげで、弾が止まって、命拾いしましたよ。」みたく。

さらに安全性を高めるのならば、懐のポケットにも何か硬いものをいれなければならないのではないか。幸い平和ボケしている私は、そのポケットは、出張の乗り物のチケットを入れるためのものだと勘違いしている。

その近くには、なにやら細いポケットがある。ペンを挿すのだろうか。やはり、それなりに立派な万年筆でないといけないのであろうか。私が最近使っている、切り換えが悪く、インクの出もいまいちな4色ボールペンではダメなのだろうか。

さらに下の腰の辺りの内側にもポケットが。きっとこれは懐中時計を入れるに違いない。ホームズさんか、ワトソンくんか、ポアロさんか、まぁ、探偵か刑事の類の仕事の人が時計を出してたような気がする。幼い頃の私は、懐中時計は、海中時計であって、かなりの深度の防水機能があるのだと思っていたことを告白する。だが、懐中時計の代わりに、ここに歩数計を入れていいものか、迷うのである。迷って結局、スーツの時も、ズボンの左前ポケットに入れるのである。

右の懐にもご丁寧にボタン付きのポケットがある。ボタンが付いてるということは、それなりにやや大事なものを入れるのだろうか。わからん。

さらに分からなかったのは、普段着に戻るのだが、ジーンズの右の前のポケットがなんでか、二段になっていて、上側になんだか知らないけれど小さなポケットがついていることであった。何か入れるには小さくて浅い。

もしや、これはポケットではなく、単なる飾りなのであろうか。それとも、思いもよらず、小銭入れに小銭が入っていなかった時に備えて、ここにワンコイン入れておくのであろうか。あるいは、電車に乗った時、切符の在り処を忘れて慌てないよう、ここに入れるのであろうか。それとも、手全部を入れる替わりに親指だけ入れて引っかけるためだろうか。謎だ。

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当時の本 『アレ何?大事典』佐々木正孝著、篠崎晃一監修(小学館、本体1300円+税)「あそこのあれ、なにしといてくれるかなぁ」と言い出すと、老化が始まっているか、阿吽の呼吸が成立しているかである。なんにせよ。ものには名前がある。物は見たことあるけど、名前を知らないものの名前事典。お、この本によると、あのジーンズの右前の二段目のポケットは、ウォッチポケット。日本語では、時計隠しというそうだ。リーバイスも1900年頃から採用したとのこと。
当時の世 クールビズはいかがなものか。
当時の私 さかだち2週間過ぎた。お酒控えても、あれ、体重あんまり減らないなぁ。酒代は掛かってないけど、その分、いろいろ買い物してるなぁ。 部屋の魔窟の獣道はだいぶ広がって開拓されたが、まだ秘境は残っている。

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