(む}Tuna is not chicken

Date: Mon, 10 July 2000

ウミネコという鳥がいる。「海猫」と書くそうだ。
鳴き声が、ニャーニャーとネコに似てるらしい。工事現場なんかで使う一輪の手押し車は「ネコ」という。別にニャーニャーとは鳴かないが、細い所を通るのは得意らしい。

クジラ目ハクジラ類のうちで、一般に体長4m以下のものがイルカで、それ以上はクジラになる。いや、べつにオタマジャクシがカエルになるのだとか、ブリがハマチになるのとは違う。
「イルカ」は漢字で「海豚」と書く。べつにブヒブヒ言わない。いや、言うかもしれない、実は私はイルカのことは良く知らない。言うまでもないが、「なごり雪」を歌うのはホモサピエンスのイルカさんである。

「河豚」と書けば、なんでかフグである。別にカカト落としはしないが、キモは美味だが秒殺される恐れがある。テッサとか、テッチリとかいうやつの「テッ」というのは、「当たると死ぬ鉄砲」の「テッ」だそうだ。「サ」は刺し身の「サ」で、「チリ」は南米の国ではなくて、「ちり鍋」の「チリ」らしい。

じゃぁ「ちり鍋」はなんで「ちり」やねん。と聞かれると、不勉強にして知らない。チリメンジャコとチリメンドンヤノインキョと、チリチリノチュウカメンと同じくらい難しいと思う。なにせ私の高校時代の社会の選択科目は地理ではなく、日本史だったのだ。

で、「河馬」ならカバであるが、ヒヒーンとは言わないだろうし、最終コーナーから、まくることもないと思う。もっとも私は、幼い頃に動物園で見たきりなんで、彼らの全速力がどれくらいのものか知らない。サラブレッドだって血統を気にするが、そもそも、意図的に交配することによって作られる種だと聞く。カバが赤い液体を流していても、あれは汗みたいなもので、血ではないそうだ。


そういや、先頃、ムツゴロウ氏が、「ゆかいな仲間たち」の収録中に、ライオンに中指の先っぽを噛みちぎられたらしい。雀魔王な彼のツモに影響ないか心配だ。言うまでもないが、雀魔王というのは竹藪の中のお宿の当主ではなく、麻雀の魔王である。しかし、ムツゴロウ氏をしても、襲われるのだから、獣は油断ならない。昔の裏プロの麻雀なんかでも負けると、指ツメとかあったのだろうか。人も油断ならない。

人耳(ぎょうざ)

中華料理なんかの食材で、キクラゲというのがある。「木耳」と書く、キノコの一種で、ブナなどの木に生えて耳みたいな形をしているからだそうだ。耳を押さえて「ギョウザ」というトホホな古典一発ネタもあるが、別に中国4000年の歴史と関係あるのかは知らん。いや、たぶんない。

海にいるクラゲは「水母」とか「海月」とか書く。どう見ても「クラゲ」とは読めない。謎である。オッパイとか、お月様に見えた人がいたのかもしれない。
骨格もなく、体のほとんどは水分で、でも、太古のクラゲの化石なんかが発掘されることもある。

キクラゲはそのゼラチン質の食感がクラゲみたいなために、そう呼ばれるらしい。私はクラゲを食べたことがないので、もし食べたら、そいつらのことを「ウミキクラゲ」と呼んでしまいそうである。


ご飯がよそわれるのは、お茶碗である。お茶碗なんだから、お茶が入れられそうであるが、ご飯が入れられる。
お茶はなんだか湯飲みに入っている。別に湯ではなくて、お茶が入っている。
で、おかずが茶碗蒸しだったりすると混乱が激しくなる。「果して、この茶碗蒸しの入っている器は、茶碗なのであろうか。」
あんまり悩むと消化に悪い。

幼い頃に「ちゃわんむし」と聞くと、つい、「茶碗虫」と連想してしまってゾクゾクした気がする、ユリネ(百合根)とかギンナン(銀杏)とかは怪しい虫の卵なんじゃないかと思ったりした、みなさん警戒するゴキブリ君は「御器被り」が語源と聞いたことがある。茶碗虫である。

同じように、「虫パン」も存在した。「あの干しブドウが、実は虫に違いない。」と思っていた。しかし、干しブドウは蒸しパンかドライカレーしか出番がないような気がする。大学生の時に、食堂でドライカレーを注文して、どっちかいうとキーマカレーみたいで、ドライでなくて、ウエットで、「ひき肉使ったらドライだってわけでもなかろう」と、少し淋しかったような記憶がある。ま、学食の炒飯は実は、ジャーで保温された蒸し飯だったことよりは救いがある。

私にとって、「待ち針」を「虫ピン」と呼ぶ人は、昆虫標本のそれから来てるのだと思うが、タイヤの空気バルブに入ってるゴム管を「虫ゴム」と呼ぶのは謎である。小さい電球を「豆電球」と呼ぶのに近いかもしれない。もっと小さいと麦球と呼ぶ。豆電球でも先がとがってるのはビリケン球であるが、それはビリケンさんに似てるからで、ビリケンさんは、キューピーちゃんがちょっとイカツクなった顔をしている。


私はあまりメロンが得意ではない。上アゴというか、口蓋上部がかゆくなるのである。だけど、アレルギーというほど激しいものでもない。もしも私が入院してお見舞いに持ってきて頂いても、メロンを食べるというより、ご好意を頂く程度に食べられるくらいである。

手造り風メロン?
メロン風手造り風パン

メロンパンにメロンが入ってないのは、ひまわりパンにひまわりは入ってないし、キリンレモンにレモンが入ってないのと同じくらいである。キリンビバレッジがまだキリンビールの一部門であったころは、あの伝説の麒麟がビンを飾ってたようなのだが、最近は胴体がレモンなキリンの、キリンレモンくんというキメラかヌエの一種がイメージキャラらしい。

その昔、饅頭というのは、生贄の変わりに肉まんを作って捧げたのが起源と聞いたことがあるが、本当だろうか。

で、私は、概してウリ系が苦手なようである。スイカもあまり食べない。別に中学校でスイカを英語でwatermelonと習ったからではない。スイカは漢字で「西瓜」と書く。ウォータメロンだからか、「水瓜」とも書く。「南瓜」と書くと「カボチャ」である。「カンボジア」がなまった語だと聞く。東や北だとどうかは知らない。

キュウリもウリ科だが、そんなに拒否反応はない。というか、幼い時にたまに寿司が食えるとなると、ウナキュウだった。次点はアナキュウ。次にカッパ巻きである。当然、サビ抜き。いや、錆が入っては困るからであって、ワサビのことだと分かったのは数分後のことだった。カッパ巻きに巻かれてるのが河童ではないと気付くのには何秒もかからなかったと思う。テッカ(鉄火)巻きとシンコ(新香)巻きがあると、赤黄緑が揃って「信号」と喜ぶのは言うまでもない。

「木瓜」と書くと、キュウリかと思ったら「ボケ」である。近所のジイさんの盆栽の「木瓜」をいくら待ってもキュウリはならない。キュウリは「胡瓜」だからだ。

「胡瓜」は「キュウリ」だけど、「胡桃」はなんでか「クルミ」。たしかにクルミの実は桃の種に似てる気もする。アゴにシワを寄せて「桃の種」という余興もあるが、「柿の種」は酒の肴である。魚でなくても肴である。形が似てるだけで本物の柿の種じゃない。私は、アラレみたく表面が粗くなったやつは柿の種とは認めない。いや、たまにそういう製品に出会うのだ。


酒の肴と言えば、枝豆。あれは大豆が青いうちに収穫したものらしい。念のために書くが、ブロッコリーはカリフラワーの青いうちではない。枝豆はインゲンや、エンドウのように、頭に「サヤ」がついて、「サヤダイズ」になったりしない。なにせ、みんな枝豆の鞘は食べない。

インゲンマメは中国から隠元という坊さんが伝えたと聞く。エンドウマメは別に、遠藤さんが伝えたのではない。エンドウマメをグリーンピースと呼んでも、別に森林平和維持活動団体ではない。

関西人はインゲンマメをサンドマメと呼ぶこともあるが、それは鞘にサンドイッチされてるからではなく、一年に三度採れるからだそうだ。

南京豆が中国産で、落花生だと千葉県産、ピーナッツと言えばアメリカ産という訳ではないのは、小麦粉とメリケン粉に同じであろう。スヌーピーも「落花生の愉快な仲間たち」ではさまにならない。私はアメリカの子供は、なんでも、ピーナツバターを塗るらしいという偏見を持っている。うちの父が虫刺されだけでなく、いろんな創傷にムヒを塗るのは偏見でなく、事実である。

サンドと言えば、サンドイッチ。サンドイッチ伯爵とかいうおじさんがカードゲームに夢中で、食事をする間も惜しんで遊んでて簡単に食事を取れるようにと考案したと言われているが、「sandwitch〜砂の魔女〜」砂かけババアの得意料理だったというのは、たぶんデマで、ましてや、サンドイッチマンがビラ配りの合間に食べる為というのもおそらくウソである。

サンドイッチマンも絶滅の危機に瀕しており、レッドブックに登録されたという。(嘘)

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当時の本 『もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵』椎名誠(角川文庫,705円(税別))私は、別に電車の中で読む本が切れて、つい中吊り広告を熟読してしまうような中毒者ではないので、濃いい文庫本を読みとおすのにもだえ苦しんで見たりする。椎名さんの20年前のエッセイの文庫化。
当時の世 雪印の嵐は、台風よりも停滞期間が長そうである。
当時の私 胸が締め付けられるのです。みぞおちの辺りが突き上げるのです。単なる飲みすぎでしょう。

シーチキンははごろもフーズの商標です。

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