[*]Large bill

Date: Mon, 22 May 2000

7時53分丁度の〜あずさ51号でぇ〜わたしはわたしは、たわしはたわしはゴ〜シゴ〜シゴ〜シ。。。旅ぃ〜立ち〜ます〜。

と、まぁ、往年のギャグが出たところで。出張を翌日に控え、緑の窓口、と言っても三和銀行にお金を下ろしに行ったわけでなく。(いや、下ろさないとお金もないのだが。それにしても、住友銀行のマークは井戸の井がひずんだような形でつい、三井銀行だと思ってしまう。)要は有人改札の出口側な、最寄りの駅の切符売り場に、特急券を買いに行く私であった。

申し込みに記入して差し出すと、あの、まん丸に、ボコボコと小さな丸の穴が空いた板の向こうで、駅員さんが何やら呟いている。
「んんん、今日の明日か、おおお、禁煙席、有るかぁ〜。んんん」
いや、なけりゃ禁煙席でなくても、ぼくは大丈夫だ。それに、全部が全部指定ってわけでもなかろ。

しかし、私の中では、小さい頃、周りの大人が、「特急券は、予定の一ヵ月前に押さえとかなきゃ、なかなか買えないんだよ」などと言っていたことの、インプリンティング(刷り込み)があるので、「もしかしてないのかも」と少し、ドキドキしてみたりする。私の中では「特急の指定席」というのは高級品なんである。グリーン車に至っては、もう、緑緑して、なんかすごいところに違いなく、きっと、やんごとなき方々しか座れないのだ。と思っていたのである。

などと考えてる向こうで、駅員さんは「どうだっ!、エイ、エイっ」と入力を続けている。「よ〜っし、よしよし」どうやら切符はあったらしい。なにか一動作ごとに、独り言を呟く駅員さんを(変なの)と思いながら見つつ、(あ、それって、職場の俺やん)と思って勝手に恥ずかしくなる私であった。

それにしても、「7時53分丁度」って、書いてみて妙な違和感がある。やはり、丁度なら「8時丁度の、あずさ2号」でないといかんのではないかと思えてくる。

お店のレジで、「646円丁度頂きます。」と言われても、違和感どころか、スッキリ感があるのだけれど。650円の方がまだ丁度だなぁとも思ったりする。でも丁度の小銭を出して、「646円丁度から頂きます」と言われると違和感がある。まだ、夏目君を出して「千円からお預かりします」と言われたほうがまだいい。いや、ほんとは「から」も違和感がある。「千円お預かりします」「354円のお返しになります」の方がいいような気もする。

でも、117を回すと、「ピッピッピッ午前7時53分丁度をお報せします。プップップップーン」と言われたりして、この「丁度」にはまったく変な感じはしない。そういや昔、時報ってのは担当の女の人が24時間張りついて時計を読みつづけてるのだろうか。なんて思っていたが、実の所、どういう仕掛けなんだろうか。

財布にお金がなくなると、私は大概、口座から3万円引き出す。どこぞで「普段、年齢かける1000円くらいは現金を持ってた方がいい」という説を聞いたからである。

だとすると、月に500円かそこらのお小遣いをもらっていた頃のお子様の私は、実質0.5歳程度だったのだろうか。いや。自分で稼いでるわけではなかったのだからそんなもんだろう。当時は親の配達の手伝いをして、一件5円の歩合給であった。

近くのスーパーなんかに買い物に行くと、お子様連れでお買い物のお母様方が結構いらっしゃって、お子様が「んんんん、ぼくが払うのぉ〜」とせがまれて、仕方なしに、親御さんが財布から諭吉先生を出して、お子さんに渡し、レジに差し出させたりしている。

んん、ぼくがお子様な頃は、自分で万札を手にするのは、正月明けに、お年玉でもらった、岩倉さんや伊藤さんをかき集めて、親に両替してもらって手にした聖徳太子殿一枚って感じだったのだがなぁ。ひとしきり眺めたあと、名残惜しいが「これ、ぼくの郵便局に入れといて」とお願いしてたような記憶がある。

天は人の上に人をつくらず。人の下に人をつくらず。でもまぁ、人が作った紙幣では、諭吉先生が一番上だったりするのだけど、昔の太子様の方が大きかったような気がするのは、私の体が成長して大きくなったゆえの気のせいではないと思われる。

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『落語家の居場所 わが愛する藝人たち』矢野誠一(文春文庫, 543円+税)八代目桂文楽がネタでつまって、「もう一度、勉強しなおしてまいります」と、それきり引退してしまった。っていうか、その、つまった時の台詞まで普段から練習してたらしいってのがなぁ。それも芸人かなぁ。と思う。
当時の世 「笑点」の中で行われた真打ち披露を見ながら、この咄家さんたちは、ぼくと同じくらいか、少し上の歳なんだろな。と思う。
当時の私 ぼくは立川流に弟子入りしてるわけではないけど談志師匠は好みだ。家元は咄家っていう言い方は好きではないらしい。

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中央線を走る電車に揺られながら、やはり、日本の緑は強いなぁ。と思った。松本に行って、十割そばとかいうのを食べた。はじめ、わりこそばが10個に取り分けられてるのかな?と思ってたら、マクドナルドのハンバーガー用ミートパティじゃないけど(って、一緒にしたら怒られるかな?)、つなぎを入れない100%そば粉のものなのだそうだ。いっしょに食べた山菜の天ぷらもうまかった。

帰りは立川に止まる特急がもうなかったので、新宿まで行って、小田急で折り返した。それにしても、なんで小田急はいつもあんなに混んでるんだろう。<雑踏を歩くのはまだいいが、満員電車に乗るのはどうもイヤだ。(満員電車が好きって人は、かなり倒錯した好みの方だと思われる)