[*]Go, because the signal is green

Date: Mon, 17 Feb 1997

「赤信号、みんなで渡れば怖くない。」と言ったのは確かビートたけしである。

「一人では渡れんのか」「みんなで渡ってもダンプが来たらイチコロだぞ」とジョークを相手に真面目につっこんでも仕方ないのだけど日本人の国民性を突いた名作だと評判がいい。

東京キー局の番組で、「大阪人は横断歩道を渡りきる速さが、東京人より速い」「大阪人は東京人よりも信号のフライングが多い」というネタで検証をやってたのを以前に見た。果して、データにどれほどの客観性があるかは知らないが、なるほど、平均値をとると差があるようだ。

大阪の町の一部には「信号待ち時間○○秒」という電光掲示板がある。言ってみれば逆黄色信号。いや、歩行者用には黄色はないから、「もうすぐ青ですよ」と赤が点滅するようなものか。しかし、あれは、経験と勘に基づく匠の技であったフライングを、データに基づくテクニックにおとしめてしまったのである。

でも、別に東京の人がのんびりしてるわけでも、フライングしないわけでもない。

まるで、この電車に乗り遅れたら人生が終わってしまうかのような悲壮な面持ちでダッシュして、「東京人はエスカレータで歩かない」と聞かされて来たのに、なるほど歩かないけど駆け登り、かろうじて通勤電車のおしくらまんじゅうの仲間に入れてもらい、目を閉じて瞑想し荒れた息を静める方がたくさんいらっしゃることをぼくは知っている。うかつに車内で荒い息づかいをしてると痴漢の被疑者になる。気をつけねばなるまい。

そんなこんなで、ぼくの利用する駅の駅前の信号は守らない人の方が多い。

それにしても、何故、青(緑)が進めで、赤が止まれなのだろう。もしも人間が牛だったら、赤信号で突進してしまうに違いない。

「青信号は「進め」の合図である。」というのは運転免許の試験に出てくる、ヒッカケである。本当は安全を確認した上で進めという意味らしい。無条件に進んだんじゃ、先の歩行者の信号無視の多い交差点では確実に事故を起こす。

青が「進んでもよい」という意味ならば、赤は「止まった方がいい」程度の意味だろう。ということで、安全を確認した上で、個人のリスクで渡る分を道路交通法違反信号無視で検挙する必要はない気がする。でも、規則というやつは、「赤信号みんなで守らにゃ意味がない」だから仕方がない。

無視されるのが赤信号ばかりじゃ不公平なので、弱前衛静的パフォーマンスの一環として、青信号無視をやってみた。目の前の信号は青だ。でも渡らない。ぼくを追い越して行く人の中には変なものを見るような顔をする人もいる。交差点でティッシュを配っているおにいさんは「邪魔なんだよ」と言いたげである。やはり、青信号無視も社会的迷惑をかけるのである。ぼくは二十代男であるけれど老婆心ながら付け加えておく、青信号無視を自動車でやってはいけない。クラクションの嵐が吹き荒れることになるから。言うまでもないことだが、自動車で赤信号無視はもっとやってはいけない。

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