Sunny side upDate: Mon, 30 Sep 2002
「本日は、こちらでお召し上がりですか?」 と聞かれても、召し上がるっていうほど、お行儀のよいものでもない。かといって、「持ち帰りで」って言うにも、実は、うちに帰り着く前に、パクついてしまうに違いないので、持ち帰るわけでもない。Take outなら、お店を出てしまえば、こっちのもんだっていうような気がするのだけど、「お持ち帰り」は、なんだか家まで大事に持って帰らなきゃならない気もする。で、業務用のスマイルなのは分かりきっているのだけれど、なんだか照れてしまって、伏目がちにメニューを指差して、「これと、こんだけ。」 月見バーガーを頬張りながら、ふと思う。 「月が見えない。」 あんまり頭に血を巡らすと、消化に良くない。ぼくはSサイズで買ったOJで、口の中のものを流し込んだ。 そういや、最近は、まん中のサイズをRサイズと呼ぶようになったらしい。日本語的にはS、M、Lを聞き分けるより、S、R、Lの方が聞き分け易いのに違いない。日本語的にはRとLの区別は容易なのだ。レギュラーってことだろうか。牛丼屋だと、一番小さいサイズが並盛りだ。敢えて書くなら、R,L,LLのラインナップである。かと言って、マックと吉野家をはしごして検証するわけには行かない。無論、二軒目が、松屋や、すきやならよいというわけでもない。 外は雨が降っていた。天気予報のおねえさんだか、おじさんだかが、降水確率から折り畳み傘を持って出掛けた方が良いようなことを言っていたような気がする。果して何%を越えるとフルサイズの傘を持ってでかければ良いのだろうか。そもそも折り畳まない傘はあるのだろうか。いや、普通の傘は畳むけど、折れないのか。折り畳みでもないのに、折れた傘は使いづらい。「そんなに屁理屈をお言いでないよ。」と、頭を冷やせと言わんばかりに、私の折り畳み傘は雨漏りがして、私の頭を濡らしている。 この頃、周りで、「…しそうな勢いで」という表現を使っている人が、結構いるような勢いである。だけど、「辞めそうな勢いで」とか「止まりそうな勢いで」と言われると、ちっとも勢いがないような気がしないでもない。「しないでもない」と言われると、「しない」のか「した」のか、分かったような分からんような気がしないでもない。無論、動いているものを止めるためには、それなりに減速のための勢いがあるのだから、勢いはあるのかもしれない。 この頃、周りで、「それって、…って話?」という言い方で、相手の言っている内容を確認しようとする人が多い気がする。「それって、…って言ってる?」という表現もよく聞く気がする。
相手に話を伝えるのは難しい。話が良く分からなかったっていう話を相手に伝えるのも、また難しい。 私は、端で起こっている議論のようなそうでもないような話を、ぼんやりと聞きつつ、 「あれは、やはり、月見バーガーではなくて、単に、ベーコンエッグバーガーなのではないか。」 「やはり…なのではないか」という、確信というには疑わしい仮説に至るのだった。
---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------ |