(む}Gold paper driver

Date: Sun, 07 Apr 2002

かれこれ2か月ぶりくらいでしょうか。Mucci Texiでございます。
どうやら今年は、学校の入学式の時には既に、桜の花は散り切ってしまって葉桜といった様相であります。入学試験の結果通知の電報なんかが、合格していたら「サクラサク」、不合格なら「サクラチル」なんて書いてあるケースがあるそうですが、散るには咲かなきゃならないわけで、、人の合否がどうであろうと、桜は勝手に咲いて散ってるわけで。

人の思いがどうであろうと、勝手に歳はとるわけで、今年の誕生日で免許証の有効期限が切れる私は二俣川の運転試験場まで出掛けました。近くの警察署でも手続きは出来るのだけど、試験場まで行くと即日交付してもらえるからであります。

私が免許証を取得した時は、まだ兵庫県尼崎市の実家にいたので、試験を受けにわざわざ明石まで出向いて、時間も運賃もかかるので、「こりゃ、落ちるともったいないなぁ」なんて思ったのを思い出しつつ、JR南武線と東急東横線と相鉄線と乗り継いで二俣川までたどり着きました。小一時間くらい掛かったでしょうか。んん、結構遠かったのね。そこから循環バスに乗っても良かったのですが、天気も回復したし、どうやら道なりに歩けばいいらしいので、テクテク歩いて行きました。

なんだか歩いていると、カップルの人を結構見かけました。誕生日が近くて一緒に更新ってわけじゃないだろうから、付添いなんだろうか?日曜日だし、デートのコースの一環として運転免許本部経由なんだろうか?なんて思っているうちにたどり着きました。案内には午後は1時からとありましたが、どうやら混んでいるので昼も受け付けてくれるようです。

案内に沿って、窓口を移動していると、なにやらどこぞのカップルさんが担当の人ともめてます。

「結婚して名前が変わるんで、更新に来たんですけど、、、」
「それは、更新でなくて、記載事項の変更ですので、これではないのでお返しします。」
「えぇ、でも、受付で名前が変わるからって言ったら、この用紙渡されたんですよぉ」

という様子を見ていると、名前を呼ばれました。

「むらかみたかしさん」

書類にはフリガナも書いたのだがなぁ。私の字がへたくそなだけかもしれん。以前も、郵便局のキャッシュカードを作った時に、名前がムラカミタカシになったことがある。私の書く「ケ」と「カ」は紛らわしいのであろうか。私の名前は「村上健」、「むらかみたけし」と読む。免許証に貼られる写真を撮ったのち、優良運転者講習の部屋に移動した。優良もなにも、もう10年くらい運転してないのだから、いわゆるペーパードライバーである。

担当の人の「今日は日曜日で混んでるので、駆け足で説明しますね」という概要説明ののち、ビデオが上映された。なんだか年季の入った、音声もブツブツノイズが入っているような、地方UHF局のCMでも見ているような映像が展開されていた。

カーブで危険な状態になって「ウルトラCのハンドルさばきで回避しようとしました」が避けきれずに事故にあった人が出てきました。病院に運ばれて一時間後、かえらぬ人となったそうです。「ウルトラCは危険が伴います。安全な運転を心掛けましょう。」スーパーEな時代にウルトラCってのもなんだかなぁ。逆上がりしかできない人が、伸身トカチェフ一回ひねりをしようとするようなものかと思えば、そりゃ無理と思われます。

「高速道路から一般道路に向かうランプウェイで、しっかり減速しないと、遠心力のパンチを受けます」私は、「パンチを受ける」という表現にパンチを受けました。

横の道から飛び出てくる自転車に乗った男の子が、どうみても自動車より大きいみたいな、ちゃちな紙アニメや、運転技能が優秀な中丸さんが、しっかり車間距離を取っていて追突を免れているのや、藤田さん一家が安全運転で目的地に向かうのやら映像を見つつ、エンディングタイトルが流れだしたところでビデオはブチっと停止されました。「今日は日曜日で混雑してるので、駆け足で説明しますね。」

ざっと説明を受けたのち、交付場所に移動しました。「名前を呼びますので受取証と交換です。日付と名前を書いてくださいねぇ。名前、間違って読むかもしれないので、自分かなぁと思った人は取りにきてくださぁい」しばし待っていると

「むらかみけんさ〜ん」

案の定まちがえられた。そういやいつの頃からだろう免許証にフリガナの欄がなくなったのは。

かくして、怪しい優良ペーパー運転手は、金のカードを手に入れた。いつもへんちくりんに写る写真も今回は比較的ましな出来であった。外では献血の車が「全型不足しています」と悲壮な看板を立てていたが、アル中で花粉症でドロドロ血の私は提供を控えた。帰りの道すがら、配付された「《ひとりでも簡単にできる》安全運転自己診断」をすると、私は「判断に迷ったままの運転をしていませんか」であった。私はどうやら路頭に迷っているようである。

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当時の本 『ホームページにオフィスを作る』野口悠紀雄(光文社新書,本体700円+税)一番自分のサイトを見ている人は、自分自身。いや、私は別に仕事のツールとしてホームページ作ってるわけじゃないですけどね。なるほどと思った。
当時の世 ずいぶん暖かくなりました。
当時の私 やや、くたびれ気味。

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