(む}Electrostatic Discharge

Date: Mon, 21 Jan 2002

静電気が飛ぶとはどういうこっちゃ。動いてるんやから静ではないではないか。事務所が乾燥しているからか、私の服の組み合わせが悪いのか。あるいは帯電しやすい体質(そんなのあるのか?)なのか。この季節はドアノブや、金属製のファイルラックに触れるのが怖いパチパチ君です。

私の髪の毛は、クルクル、ブワッと広がってまとまりに欠けますが、これはおそらく、静電気のせいではなくて、固いくせ毛のせいだと思います。

金属製のものを受け取る時も要注意です。いや、お菓子のパッケージなんかでアルミ製のものなんかも危険です。こちらが帯電してなくても、相手が帯電してたら結局、バチッと来ます。ここは紙なり、布なりかぶせて、おし頂くか、あるいは、手渡しは断念して、一旦、机の上なりに置いてもらうしか、致し方ないでしょう。

帯電量の多いときは、はっきり火花が飛ぶのが見えます。これで周囲にガスが、充満してたりすると、冗談抜きに我こそは危険人物着火マンてな具合になりかねません。危険です。これでもう少し修行すると電撃系のスペルが使えるようになるかもしれません(ならへん。ならへん。)

つねに帯電したのを床に逃がしてやればいいのに違いない。と、靴に導電性のテープなど貼ってみようかなんて考えてみましたが、いまいち耐久性と見た目に難がある。もしや、大きなクサリをぶら下げたファッションの人は、あれは帯電防止も狙ってるのだろうか?(たぶんちがう)

そうだ、静電気を防止しなきゃならないような工場の製造ラインでは、帯電防止用の靴なりサンダルなり履いて作業すると聞く。それを入手すればいいのではないか?と、東急ハンズまでのこのこ出掛ける。キーホルダータイプや、ネックレスやブレスレットタイプの静電気対策グッズも置いてあったが、履物タイプは、スリッパとナースサンダルしかなかった。

んん、ナースサンダルを買ってしまったら、パーティーグッズのフロアに行って、「変身ナースセット」も買わなければならないではないか。弱った。いや、弱らなくてもよい。そういや、ちょっと前に看護婦という呼称をやめて、看護士にするようなこと言ってたなぁ。「ナースマン」とかいうドラマどこかでやってなかったっけ。よく知らんけど。

あやうく、トルマリン原石だか、マイナスイオンカードだか、チタンテープだか買いそうになりながら、なにやらカメラで自分の耳の中をみながら耳掃除ができるカメラ付き耳かきにも引かれたけれど、あいにく私はベトベト耳垢な体質の人なので、耳かきよりも綿棒を使う人なのだ。そう、私には、あの耳かきの後ろのフサフサしたやつが使えないのだ。残念である。

なんだかずっと腹の調子がよろしくないので、トイレに行く。ウインドブレーカーを脱いで、ドアについているフックにかける。別に鳥肌は立っていないのに、なんだか体の毛がフワッと立ってる気がする。どうやらだいぶ帯電してるようだ。試しにドアノブに、自分の部屋の鍵を近づけると、5mmは離れていたと思うのだけど、バチッという音と共に、火花が飛ぶ。この儀式をしないと、あとで上着を取るときや、水を流すのにレバーに触れた時に、痺れるのだ。

滞りなく用は済み、水も無事流し、上着を羽織る。すると、なんだかまだ、体の毛がフワッと帯電している様相を見せる。私は、再び鍵を握りしめ、今度は、トイレの水道管に近づけた。さっきよりも、まだ距離があったはずだけど、バチッという音とともに火花が飛び、と同時に、隣の個室から、「うっ!」といううめき声がした。もしや、水道管を伝って隣の人をしびれさせてしまったのだろうか。私はそそくさと身支度をすると、現場から逃走した。

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『ツチケンモモコラーゲン』さくらももこ、土屋賢二(集英社,本体1200円+税)マンガ家兼おもしろエッセイスト兼ちびまる子ちゃんと、東大卒お茶大教授兼笑う哲学者兼おもしろエッセイストのおかしな対談。私はどっちかいうツチヤせんせに近しい。
当時の世 新宿中央公園で爆弾事件。
当時の私 帯電しまくり。

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