[*]Overdose

Date: Mon, 20 Mar 2000

春分の日はものすごい強風でした。部屋で籠城しながら、「このままアパートごと吹っ飛ばされて、多摩川に水没したらどうしよう」「地球の力は偉大だなぁ。」と思ってました。

前の日が湿りがちで、当日快晴強風だと、花粉も埃も飛び放題なので、ろくなことがないのですが、籠城するのに兵糧の備蓄がないので、少し買い物に出掛けたりしました。電線や信号が揺れて鳴っています。近所の高層マンションを建築中の背の高いクレーンが、強風で高いところでユラユラ揺れていて、「こっちに倒れてきたらどうしよう。」と気が気でない感じでした。

さて、先日から佐藤製薬のストナリニを愛用している私であります。なにやら二重構造になっていて、胃と腸で二回に分けて時間差で溶けて一日一錠でも効果的なのだそうです。内核と外層にそれぞれ、

(内核)   (外層)
マレイン酸クロルフェニラミン 3mg マレイン酸クロルフェニラミン 3mg
塩酸フェニレフリン 1.5mg 塩酸フェニレフリン 1.5mg
塩酸フェニルプロパノールアミン 17mg 塩酸フェニルプロパノールアミン 17mg
ダツラエキス 6mg ダツラエキス 6mg

と、まぁ、律儀に内核、外層に等量ずつ処方されております。
なんだかフェニフェニ言ってます。

マレイン酸クロルフェニラミンは、抗ヒスタミン作用があり、アレルギーの症状のかゆみなどを緩和し、ダツラエキスが粘液分泌を抑え、塩酸フェニレフリンと塩酸フェニルプロパノールアミンの二つの組み合わせで、鼻の粘膜の鬱血や腫れにすぐれた効果をあらわします。フェニルプロパノールアミンなんて何処ぞの魔導士の名前のようです。「待つわ」を歌ってたのはあみんです。

「のみやすい白色の糖衣錠です。」英語を習いたての頃の中学生の私は、「トーイ錠」の「トーイ」は「TOY」で「おもちゃ」だから、「お子様用」の薬のことなのだ。と思っていました。口の中で錠剤を転がしてなめすぎて糖衣がはがれて苦くなったこともありました。

このお薬に限らず、いわゆる内服薬は、消化されて血液中に有効成分が回るまでに、いくらかのリードタイムが必要になります。今回の私の感覚では、だいたい、一時間ちょっとかかります。朝起きて、すぐ飲んで、ちょうど出勤する頃に効くといったところでしょうか。はじめは出勤直前に飲んで、駅までの道のりや電車の中でズルズルシクシクな状況になり、トホホでした。
うむ、人は(俺は?)痛い目に合わないと学習しないのであるな。

効きが悪いからと言って飲み足してはいけません。一錠目が腸で溶ける第二段と、二錠目が胃で溶ける第一段が重なって、処方の二倍になってoverdoseになります。なかには意図的にたくさんのんでクラクラするのが良いという困った人もいますが、用法通り飲んでも、多少、肌がかさついたり、喉が乾いた感じがする副作用があるので、あぶないです。大怪我のもとの生兵法的に考えるに、鼻水とか涙とかの粘液の分泌を抑えるということは、唾液とか汗とかの分泌も少なくなるからかさつくのではないかと思っています。

過ぎたるは及ばざるがごとし。と昔の人も言ってます。病気とか痛みとかは生きてることの副作用みたいなもんだから、それとも仲良く暮らさないと仕方がないのかもしれません。分裂気質な人にありがちな話が大袈裟になる考えでいけば、「私が生きている」というのは、結構時空の歪みを生じさせて、ある意味「病的」な現象なのではないかとも思われます。しかし、時空が熱的平衡状態にあるならば、それは、この世の熱的死とも言えます。歪んでいるからこそ生きているのです。

それはさておき、6錠入りのシートが4枚で24錠入り。1シート過ぎたあたりから、なんだか効きが鈍ってきたような気がします。耐性がついてしまったのでしょうか。だからといって、慌てて飲み足してはいけません。薬にはあっさり慣れて、花粉やら埃にはなかなか慣れないのだから、身体の仕組みって精巧だが面倒だかわからんなぁ。と思います。

---MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS------------------------------------
当時の本 『マンガは哲学する』永井均(講談社SOPHIA BOOKS, 1400円)マンガの中に潜む哲学
当時の世 強風。
当時の私 確かに体重は増えているが2倍になったわけではないから、薬の処方を勝手に2倍にしてはいけない。

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