[*]三兎を追う者、かろうじて、一兎を得る。

1997/07/15 (Tue)

一見、単なるカッターナイフのように見えるこの品物。おどろくべきことに3通りに使えるらしい。パッケ−ジの能書きに従うと、
1. 封書を開ける。レターオープナー
2. 用紙を切る。カッター
3. ホッチキスを外す。 リムーバー

そして、製品の名前は "新時代のレターオープナー「開封くん」" である。私の持っているのは黒なので男の子仕様かもしれない。ひょっとすると、赤色の女の子仕様「開封さん」もあるのかもしれないが、その存在は確認されていない。

レターオープナーである。名前にもなっているくらいだから主機能なのであろう。ところが、私のポストには滅多なことではレターはこない。来たとしてもそんなに厳密に封されているわけではないので、オープナーの活躍の場面はない。多くの場合は、月一回もらえる給与明細のようにミシン目が入っていたり、シール方式になっているので手で簡単に開けられる。仕方がないので、私は文房具屋に赴き、おもむろに封筒を買い求め、糊で慎重に封した後に、オープナーの機能を発動するのであった。

リムーバーである。一度ホッチキスでとめた物を外す機会は、就職してこちら妙に増えている。その際、爪でつまんで外そうとすると、調子の悪い日は爪が剥がれるのではという恐怖にかられて、つい作業が滞ってしまいがちである。そこで、このリムーバーが活躍する。つい嬉しくなって、紙の上にホッチキスの無駄弾を打ちまくり、それをひたすら抜きまくるリムーバー中毒にかかる人もいると聞く。幸いにして、私はその辺りに自制が利くので発症を免れている。しかし、このリムーバー、10号針といういわゆる普通のホッチキス用である。やや厚めの書類を綴じる頑丈なホッチキスや、中綴じの雑誌の真ん中に入っている針を取ろうとすると、リムーバーが負けて曲がりそうになる。ましてや、段ボール箱を綴じるのに使われている、かすがいの子分のような金具を取るのにこのリムーバーを使おうとしてはならない。時々、缶飲料のふたを開けるのに使う時がある。

カッターナイフである。一番まっとうな見方をすれば、これはカッターナイフである。切れ味が悪くなると、刃先をパキッと折って使う例のカッターナイフである。世にあるオルファ式ってやつは「折る刃」式に由来すると聞いたことがあるが本当であろうか。まったく関係ないが、小さい頃、カッターシャツの襟首は鋭くて、着たら頸動脈が切断され出血多量で死んでしまうのではないかと恐怖にかられたのは私である。

かくして、「開封くん」はほとんど只のカッターナイフと見紛うような余生を送っている。「新時代のレターオープナー」は多分、生まれる時代を間違えたのである。

補注:パッケージには「その他の使い方」として、「折り目をつければ、線に沿ってキレイに切断できますので、包装紙等のカットに最適です。(使い方はレターオープナー同様)」とある。ごく普通の一般家庭ではさほど包装紙等をカットする機会には恵まれていないと思われる。

レターオープナー・・・\600・・・三菱鉛筆

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