[*]You are shock!

1997/08/04

東洋医学に鍼治療というのがある。詳しい理論は知らないけれど、ツボを刺激して経絡の気の流れを整えるのだそうだ。「経」は縦糸、「絡」には横糸というような意味があって、つまりは体のバランスを意味しているのであろう。経絡と言えば、「お前はもう、死んでいる。」でお馴染みの『北斗の拳』の経絡秘孔で知ったと言う人もいるだろう。

西洋医学的に考えると、基本は「悪い部分を取り除く」であるから、肩凝りを治療するには、サロンパスなどを貼って、凝りの部分の血行を良くすることによって、老廃物を取り除こうというものである。はたして、サロンパスが西洋医学的かどうかは、考察の必要があるのだが…なぜなら、薬効成分と関係なく貼っただけで症状が良くなってしまうという、まるっきし病は気からみたいな人もいるのである。もっとも、貼るという刺激による東洋医学的効果なのかもしれないが。薬の臨床試験などでは、「お薬ですよ〜」とか言いながら、ただの粉だったりする偽薬(プラセボ)試験などを行う。余談であるが、サロンパス内服液は、良薬口に苦しというやつに違いないという曰く言い難い味がする。サロンパスは久光製薬の商標です。

で、東洋的に考えると、悪い症状が出ているのは、全身のトータルバランスが崩れているからと考えるのである。以前、肩を傷めて上がらなくなった時に鍼治療を受けたことがあるが、患部は肩であるにもかかわらず、頭の先から足の先まで鍼を打たれた。もっとも、治療後、なんだか肩が軽くなって、後頭部に手をやってみたところ、妙に固い髪だなぁと思ったら、頭に鍼が打たれたまま残っていたという事件があって、それ以来行ってない。

ま、西洋的には患部は敵であるのに対し、東洋的には患部はちょっと機嫌の悪くなった自分の一部という感じだろうか。とすると、少し前に論争になった本ではないけれど、ガン細胞だって自分だし、毎日トイレで別れを惜しむ大小のものも自分である。生体の新陳代謝の作用によって、体の大部分の細胞は、オギャーと言った時から入れ代わって別物になっているはずだから、自分とは何か怪しいものである。

長い長い前置きであったが、紹介するのは、"遊歩人 ハリボーイ"(なんか、俺が買った時より1000円高いぞ?)である。このペン形のグッズの先端の電極らしきものを体に当て、後端をノックすると、バシッと電気ショックが得られるのである。昔、電子ライターや湯沸器の着火装置の部分だけ取り出してイタズラするやつがいたが、仕組みはそれと同じである。

パッケージには

「肩コリにさよなら! 効くからスキ 遊び感覚で『ツボ』治療ができる」

などという能天気な文句が並んでおります。でもって、取説を見ると

押しボタンを押すだけでパルス電気が発電され「電池」も不要。
微電流「0.00006m/mA」の為安全性は抜群でペンシルタイプですから、いつどこへでも持ち歩けます。

ただし

必ず、素手でお使い下さい。
妊婦が合谷(親指と人指し指の付け根の辺りにあるツボ)を刺激しますと流産の危険性があるのでご注意下さい。
濡れた状態でのご使用はお避け下さい

だったりします。

初めての電気刺激は怖いと云うイメージがありますが、ガマンをして慣れますとかえって気持ちが良いものです。それが効いたことにもなるわけです。

なんとも怪しげでマゾヒスティックな香りさえしますが、そうらしいです。

試しに首筋に打ってみると、肩口から腕がビクッビクッと動きました。気色いいです。ちょっと怖いので、脳天と心臓の近くでは、まだ試していません。

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