[*]一般人も歯が命?

1997/10/13

「芸能人は歯が命」

などというフレーズで、何故か多くの一般大衆が買ってしまったと言われる歯磨き粉「アパガード」である。

歯の表面に出来た微小な損傷(初期の虫歯)を、この歯磨き粉の成分であるハイドロキシアパタイトが再石灰化という作用で塞いで、元のきれいな表面を復活させるという、非常に塩梅のよろしいことになっている。粒子が取りついて固まったとして、果してどうやってツルツルの表面が再生されるのか? その辺りのメカニズムはよくわからないのだが、それこそ、その辺りは塩梅よくいくのだろう。

この再石灰化という作用は、実は通常の口腔内でも行われている。食事などの際に損傷した歯の表面は食後の時間に唾液と、食事中に溶けだしてしまったアパタイトで、再石灰化して損傷を回復するらしい。だから、この頃は食後すぐに歯を磨いて口をゆすいでしまうことを勧めない歯医者さんも多い。

取説にはなにやら学術論文が参考文献としてあげられているようだが、わざわざそれを見ようという気にはならない。なんだか権威主義っぽさが感じられて嫌だ。

概ね、この製品で言うところの微小な損傷というのは顕微鏡レベルの大きさらしい。したがって、すでに口をあ〜んとしたら見えてしまうような巨大な穴をこれで塞ごうとするのは、プラモデルに出来た気泡をタミヤの溶きパテで塞ごうとするようなものである。

余談であるが、幹久君はヘビースモーカーなので、命である歯を白く保つために、歯医者さんに通ってヤニ取りに余念がないのだそうで、この製品だけによって白くなっているわけではなさそうである。ついでに幹久君のようにちょっと顔を浅黒くすると、その反動で歯が白く見えるかもしれないのでお勧めする。

私の歯には肉眼で確認できる大きな傷があるので、この製品は無力である。

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