[*]目は口ほどにものを言い

Date: Sun, 28 Dec 1997

ふたえまぶた用化粧品と書いてありますが、ふたえまぶたの人は使う必要はありません。ひとえの人をふたえにするためのものです。製品名はEYE TALK EXCELLENT です。きっと、目は口ほどにものを言うのです。

私はどっちかいうと奥二重です。どうも、日本人の美意識に色白の方が美人というのと同様に、ふたえでパッチリした目の方がいい。というのがあるような気がしてなりません。マンガを見ててもかわいい女の子の絵はふたえで睫毛がピンっとはねてて大きな瞳をしています。ま、現実にあの面積比で目があると恐いものがありますが、絵というのは潜在意識を大袈裟に拡張する面があるから、目が大きい方がいいと思ってるのは確かだと思います。

前にも述べたことがあるのですが、この製品のパッケージにもご多分にもれず、「NATURAL and BEAUTIFUL」の文句が書かれています。

「メイクアップ」という言葉が語るに落ちているように、化粧というのは人為であります。「化粧」の「化」だって「化かす」という字です。決して自然ではありません。だからナチュラルと言われると私には違和感があるのです。

顔かたちというのは、確かに、ある意味、遺伝子の発現ですから、いわゆるすっぴんで美人の方というのはナチュラルだと言えなくはないかもしれません。ただし、自分で自分が美しいとナルシスティックに意識的に演出をされている場合はこれには当たりません。

男性とくらべると女性の方が身体に自然を残しつつ、頭の判断は現実的な傾向があるとしばしば言われます。その観点からはメイクというのは、一枚のベールをかぶせつつ、現実に適応する所作だと言えそうです。

メイクアップというくらいだから、完了して出てきて欲しいのですが、時折、電車・バスの中でメイクの続きをされている方がいらっしゃいます。メイキング場面を見せるのもまた芸の一つなのでしょうか。近頃のテレビもメイキングやNG集といった本来、隠されているはずのもので番組が成立していたりします。

こないだ、揺れるバスの中でビューラーを使っているおねえさんを見かけました。「つわものだなぁ。」と思いましたが、そこまでされてしまうと、どんなにその人が美しい顔をしていても「不細工やなぁ」と私は思います。ここでも「不細工」という単語が示しているように「細工がうまくいっている」つまり「さりげなく上手に化粧している」のを美しいと認める傾向があるようです。さらに、ここでいう「さりげなさ」というのが広い意味で「自然さ」とつながり、つい「ナチュラル」と言いたくなるのだと思います。

使用前 使用後

さて、思い通りのラインのふたえまぶたをキープできるこの製品。ためしに使ってみると、思い通りにするにはかなりテクニックがいるようでした。なんだか失敗した美容形成みたいになってしまいました。まぁ、私の場合は、このような化粧品に頼る前に、いつも眠たげに腫れぼったい上瞼の脂肪をどこかにやらないとどうしようもないようです。

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