生産性向上…時給について考えた

生産性向上という言葉は、おそらく人が経済活動を始めた頃からある話題のはずだが、昨今のいわゆる『働き方改革』という看板のお蔭で、最近にわかに注目されているように見えている。

とは言っても、多くの職場で「長時間残業の削減」としてしか見えてなくて、会社側から見ると、
従業員に残業代は払わなくて済む
従業員は残業に拘束されず自分の時間を持ててハッピー
お金も時間も削減出来て、同じ成果を達成できれば生産性が向上する
という算段になるはずであるが、その計算が成立するのは、今までの残業が「ムダ」だと断定できる場合に限る。

私の職場は、基本的に残業は禁止になったので(とは言え、相変わらず、残業が多いと指摘をうける部署や従業員は後を絶たないが)、私は、ほぼ毎日定時退社である。

残業が必須であった仕事量?であれば、如何にして、それを定時内で終わらせるか?という工夫に走るところであるが、今度は、定時の所定勤務時間に私が拘束されているのである。

念のために言っておくが「暇だ」と言いたいわけではない。だからと言って「8時間分の仕事がないので、何かありませんかぁ~」なんて御用聞きして職場内を巡回したのでは、ホントに時給で働くバイト状態になる。

対外的(主に、銀行とか役所とか)な書類に自分の職務を書く場合は「一般職」「事務職」と書かざるを得ないことも多いのだが、一応、設計開発、R&Dだ。特別、規定のフォーマットがなければ、特に個人的に「お仕事は何をされているんですか?」と質問されれば「クリエイティブ関係です」ということにしている(なかなかその機会はない)

月給制で、残業ゼロだと、ふつうに所定勤務日数x8時間=月間総労働時間になるのだから、月給を労働時間で割れば、時給のようなものが計算される。それで世間の割のいいバイトと比較して一喜一憂するのは意味がない。寧ろ、楽して、高給バイト並みの時給を貰っているなら、いい御身分であろう。

単純な割り算が好きなら、冷静にもう少し考えてみてもいい。通勤の行き帰りも仕事に拘束されているのだし、休み時間とは言え昼休みに1時間くらい拘束されている。1時間電車に乗って通勤しているなら往復2時間だから、都合、一日に11時間、職場都合で自分が拘束されているのだ。

もしも、先ほどの計算で時給換算2,000円の月給で働いているのなら、実は11分の8倍つまり、72.7%相当。計算すると、時給1,450円で働いているとも言えるのかもしれないではないか。
ちなみに、2018年10月時点の神奈川県最低賃金は983円(時間額)である。

もう少し数字で遊ぶと、月給制の人は、勤務日数が前後しようとも、基本給には変わりはない。月によっては休日の数が違うし、年次休暇で休むことも、病気やサボりで欠勤なこともあるだろう。欠勤が多いと、おいおい給料が減らされることはあるだろうが、その月に出勤していれば月給は貰えるはずである。
だから、単純な割り算の時給換算で一喜一憂しても仕方がないのである。

さて、今一度生産性について考えよう。
生産性”Productivity”というのは得られた成果を投入した資源(お金、時間、労力)などで割った効率のようなものである。2倍働いて2倍の生産高を稼いでも、それは生産性という意味では向上しているとは言えない。もしも会社が真っ当に残業代を支払っているのなら、基本給は1倍分の労力だから、人を2倍に増やしたか、同じ人員で足らない1倍分残業したかだから、給料というなの費用(コスト)が発生して、それが製品原価に加わっているのだから、2倍の生産高で、2倍の売上を稼いだとしても、原価が上がっているから利益は減る。利益を以って成果を計るのであれば、2倍の資源を投入(2倍のコスト)をかけても利益は倍になってないのだから、寧ろ生産性は下がっていることになる。

もう一度考えよう。生産性を上げるのならば
同じ成果を上げるのに投入する資源を減らす
あるいは
同じ量の資源の投入で、より多くの成果を上げる
ということだ。

時給で考えるのは、単純に、労力=時間=お金で単純に結びつけるから遣る瀬無くなるのだ。
バイトだって、同じ仕事するなら、時給の良いところを探すじゃないか。
なら、同じ職場で定時勤務で時間を拘束されざるを得ないのであれば、
・同じ成果を短時間で上げる
・同じ成果を苦労せずに上げる
・長期的に見て給料アップが見込める仕事をする
ということになる。ただ、三つ目は、いわゆる昇進狙いになる。転職してしまう人もいるだろう。単発で成功したプロジェクトに参画できることもあるだろうが、それは単発だからボーナスは弾んでくれるかもしれないが、給料アップに直結するとはいいがたい。(いわゆるヒットメーカーな人なら別だけど)

とすると、昇進も転職もせず、ラッキーにも恵まれないのであれば
戦略は
同じ成果を、より短い時間、より楽に達成する仕組みを開発するということになるんじゃなかろうか。

だから、単純に労働時間を増やして当初の成果を増やすのは、どう頑張ったって2倍にも届かない(既に11時間拘束されてるので2倍働こうにも1日は24時間しかない)
そうすることで、もしも丸一日8時間かけていた仕事を4時間でやる方法を開発すれば、あなたの時給は、今までの倍になるはずだ。

「暇だから仕事ないですかぁ」と誰かに簡単な仕事を回してもらう暇があったら、
働かない方向で、つまり、「余った」とか「暇な」というと聞こえが悪いけれども、フリーな時間でプロダクティブでクリエイティブな仕事っぷりを発揮すれば良いのだ。

自分でコワーキングスペースなどの利用料を払うこともないどころか、お金を貰える上に、事務所も設備もあるのだから、それを利用しない手はない。
確かに、時間的に拘束されているが、変に時間があっても、外で何か好きなことをするには、それなりに時間も費用も掛かるのだから、やりたいことがたくさんあって、そのために時間が足りないというのでなければ、毎日毎日、定時前に帰る必要はないのだ(しばしば帰りたくなるが)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です