Culture shock かわやの流れのように

はばかりながら、三たび、はばかりの話である。それにしても、この手の話ばかりよろこんでしていては、まるで、精神分析で言うところの、肛門期のお子様である。

今住んでいる寮では、自分の部屋にトイレがあるわけではない。昼間、ぼくらが仕事をしている間に、共用の場を掃除しに来てくれる方がいるのである。たまに、会社を休んで、部屋でゴロゴロしていて、用を足しに出ると、そのお仕事のおばちゃん達と鉢合わせして「こんにちは」「お世話様です」てなことになる。

そのおばちゃんが、必ず、ペーパーを三角折りされるのである。掃除完了のマークなのであろうか。いや、ひょっとすると、この寮に住む男の中にも三角折りの習慣のある者がいるのかもしれない。

男子寮の共用トイレであるからして、前述の大用より大きな小用便器がある。よって、個室は基本的に大きな人専用である。ぼくもあまり背の高い方ではないが、しばしば、大人物になる時があるので個室を利用する。

すると、便座が上がっている。妙な違和感がある。先客は小人だったのであろうか。フタが開いているならまだしも、便座が上がっているのには、思わず、むむむ?と腕組みしたい所ではあるが、まずは便座を所定の場所に戻して、腰掛けて考えなければならない。

入寮した当時、ぼくは、この洋式という様式にまず、違和感があった。実家のは和式であったし、ずっとその環境で育ったので軽いカルチャーショックを受け、洋式の上でロダンの考える人になって考えるのであった。「うむ、やりにくい」

実家の方は、父が膝を傷めたのを機に、洋式に切り換えようとしたのであるが、如何せん、和式のハイタンクと、洋式のロータンクでは、必要な設置面積に違いがあり、悲しいかな我が家の厠は和式専用の狭さなのだった。

正月やお盆にお邪魔する祖父母の家の便所は、縁側経由でくるーっと廊下沿いに家を3分の1くらい回った所にあった。夜にそこに行く時は幼心に、なかなか恐怖であった。ジョロウグモや、カマドウマの監視のもと、ポットンの上にしゃがむのはなんだか落ち着かなかった。なにしろ、こちらは無防備である。カマドウマがぴょ~んと跳ねた拍子にお尻に刺さったらどうしよう。と起こりそうにもなさそうだが、その被害妄想に陥った。カマドウマ別名オカマコオロギ。いや、別に男性同性愛者を揶揄するつもりはない。

ダンゴムシはしばしば、男子児童の間で便所虫などと言われて揶揄されたのである。ぼくにとっては、クモやカマドウマが便所虫である。今でもあまり得意ではない。ま、しかし、別にこれを克服して得意になってもどうだという問題でもない。

夜間のアルコール摂取と、昼間のキシリトールガム摂取の影響か?おなかがゆるくなりがちなぼく。キシリトールガムには必ず、

一度に多量にたべると、体質によりお腹がゆるくなる場合があります。一時的なものですから心配はございません

という注意書きがある。いや、別にお菓子屋さんや酒屋さんの営業妨害するつもりもない。

おなかがゆるいぼくが、入ったトイレに注意書きがある。

お願い
トイレットペーパーを一度に多く流すと便器に詰まる恐れがあります。
一度に多く流さないで下さい。

ここでも「一度に多く」は、いかんとある。「一度に多くを二度までも書くとは、なんだか、冗長な注意文だなぁ」と自分の文章が冗長であるのを棚に上げて思う。

そのハリガミの余白に綾波レイの落書き。

では、あなたは何故、ココにいるの

と言いたげである。「おなかがゆるいんだ。いいじゃないか!」
注ぎ合うお酒が、お腹を、壊す。 (ん?極太明朝巨大フォントを使う所か?)
Take care of your onaka (by 新ビオフェルミン)

落ち着いたぼくは、ぼんやりと、「黒い服を着てると、赤外線センサーで人のいるいないを判断して水を流すタイプの小用便器では水が流れない時があるな。やはり、黒子は見えないんだ。ハイテクの落とし穴だな。」と、またしてもどうでもいいことを考えている。

おもむろにレバーを操作する。コリオリの力とは関係なく、水は渦を巻き、全ては水に流された。

—MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS————————————
当時の本 『脳天気教養図鑑』唐沢商会(幻冬舎文庫, 457円+税)どうでもいいような瑣末な一行知識に関しては、さすがプロであろう。恐れ入った。いや、恐れ入る必要はない。


当時の世 向井千秋さん、また飛んでいるらしい。
当時の私 はたして、もう、この手のネタは全部出たのであろうか。

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