Post office 便りを出すところ

連続で品がなくて申し訳ないのだが、今回もPost officeの話である Post officeと言っても、当然、郵便局のことではなく、大小の便りを出しに行く所のことである。

英会話の研修を受けた時に、ネイティヴの先生がBathroomと言うので、初め、なんで風呂が出てくるんだ?と思ったが、0.5秒後くらいに「ああ、トイレのことか」と思い当たった。しかし、それでもなお、「アメリカの住居は全てユニットバスなのに違いない」と私が思い込んだというのは本当である。

Toiletというと、なんだか往年のナンセンスギャグ漫画『トイレット博士』を思い出してしまう。横隔膜が痙攣して呼吸不全になるくらい笑った記憶のわりに、ストーリーを忘れた(いや、ナンセンスなんだからストーリーはなかったのかもしれない)だから、今見直したら、新鮮に読めて、腹がよじれて腸捻転になるかもしれない。

そういう私だから、オー・デ・トワレなんか言われてもトイレの芳香剤か?という勘違いをするのである。香りは香りでも随分違う。

W.C.というのはWater Closetである。「なんじゃ、水の押し入れって?」と直訳英語的な勘違いを例によってするのである。しかし、Water と付くからには、いわゆるポットンはW.C.とは言わないのだろうか。小学校の時のトイレは下にポットンと行って、いくらか時間が来たら、そこにザァーッと水が流れる方式だったような記憶がある。こいつはどっちだ。

Lavatory と言うこともあるようだ、でもなんだか、響きが小難しそうで、美術館とか博物館とかお役所とかのトイレしか、そう呼ばないんじゃなかろうかと思ってみたりする。vとbの発音が良く分かってないので、laboratoryと聞き違える。それでは、まるっきりトイレット博士である。

Rest roomというのは、かなり一般的なようだ。日本語でも長距離のドライブの途中で、パーキングエリアに寄ってトイレ休憩なんていう言い方をすることがあるから、うむ、休憩室であるな。と思う。

日本語でも化粧室という言い回しがある。男である私は基本的に化粧はしないので化粧室と書かれると、「もしや、女性専用であろうか?」と変な照れ方をする。

私はデパートの類が苦手である。苦手なだけに、よく案内を見ずにウロウロして迷子になって、ふと気付くと、その建屋全体が「レディース館」と呼ぶ所であることがある。レディースなだけに、男性用Rest roomは一番上とか下の階にしかなかったりして困ることがある。「ひょっとすると、男子禁制なのかもしれない。」と足早に立ち去る。

女性用はいちいち個室を作らなければならないが、男性用はいわゆる朝顔というか小用には設置面積が小さくて済む方が使えるので、公衆の場で、男女用の敷地面積が同じなら、設備の設置数の点では男性の方が有利なのである。しかし、最近、気付いたのだが、普通の男子用公衆トイレでは小用でも朝顔タイプはあまり設置されておらず、結構大きなものが据え付けられているので、実は、小用の便器の方が大用の便器よりでかいのであった。

昔、塾で申し込まれた中学受験用の模擬試験なるものを受けた時、 試験会場が某女子校で、職員用を除くと、当然、ほとんどが女子用で、当然、そこには小用の朝顔はなくて、トイレに行ったら、実家の和式のような段差がないので、立ったままやるには適してなくて結局しゃがんで用を済まして、 「俺、何やってんだろ」と妙な不安に襲われたことを思い出す。

思えば、小学生の頃、女子の間ではトイレ友達なるものが存在したらしいのであったが、私には連れション用の連れはいなかった。男女の差なのだろうか、それとも、単に私が人付き合いが悪かっただけなのであろうか。

注: 関西では、付き合いのある人を「連れ」で済ます便利な言い回しがある。恋人だろうが、友達だろうが、知り合いだろうが、行きずりだろうが使える。敬語表現でお客様にも上司にも、猫にも杓子にも使える「…してはる」と並んでワイルドカードな言葉である。「あ、あんな所に、猫さんいてはるわ。」

女子トイレには花子さんが出てくるくらいだが、男子トイレには太郎君は出てこないから、多分、女子固有の現象なのであろうと納得したのであった。「花子さんと対抗するには独りでは不安であろうから、女どもはつるむのだ。」私はそう理解したのだ。男子は孤独に個室に向かう。小用の時には個室を利用しない。だから前回論じたように、重大な懸案のために個室にこもるには、それなりの覚悟を必要としたのではなかろうか。

To be continued

—MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS————————————
当時の本 『悲鳴をあげる身体』鷲田清一(PHP新書, 657円+税)体は私の持ち物か?衣服やシャワーは私の体の輪郭を意識させてくれる。プライベートという言葉がそもそも外界から切り離されたという意味であること。洋服は細かくサイズ分けされるが、着物は帯の締め具合で合わせる。どこまでが私なのか。


当時の世 「不景気だからさぁ」で会話を始めるのは止めてください。
当時の私 「ぼちぼちでんな」しかし、また大量に本を買ってしまった。いやいや、内需拡大。

念のために書くが、Post officeという言い回しは、この文章を書き始めるにあたって思いついたでまかせである。さらに、念のために辞書を引くと、意味の2で、

郵便局ごっこ(postman’s knock)((郵便屋さんが来てるよといって異性を郵便局つまり別室に呼んでキスをする遊戯))

というのが出ていた。別室は別室でも個室ではないようだ。

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