Falls in Fall 汗の滝壺に溺れる私

こないだ大雨が降った後あたりから、どうやら、季節は秋に移行しているようだ。それでも、出番の遅れたアブラゼミは鳴いているし、歩け歩け大会のぼくは服がしぼれるくらいに汗をかく。

ぼくには朝シャンの習慣はないが、朝、シャワ-を浴びても、最寄りの駅に着くまでに汗だくになってしまうので、いまいち意味がないような気もする。

いったい、どこに、これだけの汗になるだけの水分があるのだろうか、と思うが、ま、人体の7割くらいは水分らしいから、多少汗を流したところで知れてる。「ああ、汗かいた」と補給する水分は、ひょっとすると、流した量より多いんじゃなかろか、と思う。

ぼくは、他の人より少ない仕事量で、他の人より汗水たらしてしまうので、額に汗して働いても、大した仕事量ではない。脱水症状になるくらい働くとちょうどいいのかもしれない。でもたぶん、途中休憩でまたしても、必要以上に補給するのだろうから、大丈夫だろう。

イヌは汗をかかないので、舌を出してハァハァと息をするそうだ。だからといって、戌年生まれのぼくが、汗をかかずに舌を出すことはない。子年の人がはしこかったり、亥年の人が猛進したり、申年の人が小賢しかったりしないのと同様である。辰年の人なんかどうしろというのだ。

これだけ汗をかけば、それだけ水分が出ていったということで、汗の比重はおよそ1と思えば、1リットル汗をかけば、1キロ体重が減る計算になるはずだが、減らない。やはり、どこかで注ぎ足してるのだ。

逆に、飲み物をゴキュゴキュと飲むと、ちゃんとその分重くなる。ついでにおなかの中でチャポチャポ音がする特典付きであるが、増えるときだけちゃんと増えるので不公平だと本人は思っている。

しかたがないので、トイレに行って大小セットで用事を済ませて、再び、体重計に乗ってみると、1キロ位減ることもある。なんだか下剤でダイエットしようとする人の気分が分かる気もする。

それにしても、体重計のことをヘルスメーターと呼んでた気がするが、体重は健康のバロメーターなのだろうか。いや、バロメーターっていう言い方もひょっとすると古めかもしれない。バロメーターはバールのメーターだから元は気圧計だ。ミリバールがヘクトパスカルとすり替わって久しい。

そのまま、風呂に直行して、じっくりとつかる。夏の一時期、盆の前後とそのあと、「湯船の利用者が少ないのでシャワーだけになります。」という掲示が寮の掲示板に出ていて、「なに~、肩まで浸かって100まで数えられんではないか!」と憤慨していたのだが、冷静に考えると、前も「水不足のため」といって止まってた気もするし、いつも、風呂の運用時間よりも遅く帰ってシャワーだけになることも多かったので、憤るほどのことではない。

「やっぱ、日本人としては肩までつかって、『ふ~しみるね~』とか『ほ~生き返るね~』(死んどんかい)などとやるもんでしょ」と思っていたら、周りには結構、普段からシャワーしか使わないという人も多い。お箸の国のひとだもの、とか、お風呂の国の人だものとは言えなくなってきたのかもしれない。

さて、100までのところを、本日はサービスして300まで数えるぞ!と湯につかる。小さい頃はカラスの行水と言われ、「12345678910,12345678920…」と早口で数えていたぼくも、最近は、ゆっくりと数えたりする。しかし、あんまりゆっくりしすぎると、のぼせて出血大サービスになるので気をつけなければならない。ましてや、寮の共同風呂である。他の利用者の手前、流血事故だけは避けたい。

風呂から上がり、体重計に乗る。さらに500gくらいは減ったようだ。しかし、おそらく、このあと、ゴキュゴキュとビールを飲んで戻るのだ。翌朝、アルコール性の下痢になって、増分をリカバーしようという予定ではない。

—MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS————————————
当時の本 『檻のなかのダンス』鶴見済(太田出版, 1400円)閉塞と自由。自殺の仕方、無気力工場、人格改造の著者は、踊る阿呆になって自由を目指す。


当時の世 テポドンは、ピカドンとポテチンに響きが似ている。ほんとに衛星打ち上げたのか?それにしても、こっち向いて打つなよ。
当時の私 夢遊病者ならぬ、夢勤病者の疑いがある。

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