メーカー、ベンダー、サプライヤー

仕事で部品調達の取引先のことを、メーカーとかベンダーという呼び方をしていると、上の人から、「そういう時は、『サプライヤー』と言うようにと指導を受けた。
理由について、細かいとこは説明されなかったのだが、上の上の人から「そういう呼び方になる態度がいけない」と半ば精神論のような道徳や倫理のようなことを言われてるようだ。
「メーカー」や「ベンダー」は、何か見下したような呼び方だとでも言いたいのか?
ひょっとして、悪しき「させていただく」文化の影響ではないか?と勘繰りたくなる。

メディアだと「熱血マーケター」とか「熱血バイヤー」なんて言葉も時折見掛けるけれど、熱血はまだしも、マーケターやバイヤーって何をしてる人なのか良く分からない。セールスは営業でしょ?くらいに言う人はいるかもしれない。

少なくとも、私が小さい頃は、メーカーという言葉しかなかったし、英語は知らんけどメイドインジャパンという言葉は知っていた。ベンダーと言われても自動販売機を気取って言ってるのか?くらいのイメージだった。

そうだなF1中継が始まった頃に「エンジンサプライヤー」という言葉は聞いたか。余談であるが、私がモチベーションという単語を知ったのもF1中継だったと思う。私のF1熱はアイルトン・セナの死と共に終わった。F1マシンを作ってるチームはコンストラクターだったな。

カタカナ語は、日本語特有の語彙に変化していることが、往々にしてあるのだけれど、まずは英語の辞書を引いてみよう。

Maker = the people or company that make something
Vendor = someone who is selling something
Supplier = a company, person, etc. that provides things that people want or need, especially over a long period of time

自分流に訳すと

メーカー = 何か作ってる会社や人
ベンダー = 何か売ってる誰か
サプライヤー= 人々が欲しいものを提供している会社や人のうちの一つ

んん、どうやら、やはり、日本文化の味付けがされている匂いがプンプンする。

いくつかWebを当たってみるかとググると、みなさん違いが気になるらしく、たくさん出てくる出てくる

メーカー = 製品を製造して、自社製品を販売してもらうために流通させる会社
ベンダー = メーカーから製品を仕入れて販売する会社。メーカーから見たお店。
サプライヤー= お店から見た仕入れ先。メーカーから見た部材原料の供給業者

あれ?どうやら分岐点として、「メーカー」と「お店」があるらしい。

たしかに、製品に貼ってるラベルとか文言とか見ると、
製造元、販売元と二つ書いてることが良くある。とすると、メーカーは製造元で、ベンダーはは販売元で、但し、日本語だと、ベンダーという言い方は業界内部で製造メーカーから見た売る人ということになる。

製造元から直接卸して店舗に並べる場合は、メーカーから見て店舗はベンダーなのか?聞いたことないなぁ。農作物の産地直送でお店に並んでても…言わんな工業製品に限るのかな。

メーカーから見たらベンダーだけど、お客さんから見ると、販社とか商社とかセールスとか、車だと特にディーラーって言うな。商社や商店を下に見たがるのは、きっと、「士農工商」の亡霊の祟りか、「お客様は神様」教の信者だな。

どうも業界村の掟のような雰囲気だな。

少し前までは「部品ベンダー」と言ってたのが、いつのまにか「サプライヤー」と言えという御達しがあった空気感が…あれだな。きっとみんな、トヨタとか日産の真似をしたのだ。

部品メーカーからすると、部品は自分の会社の完成品で製品なのだし、それを売ってるのだし。あれだな。お客さんに届く商品の形を作り上げてる製造元のエゴだな。たぶん。「下請け」という言葉が封建的だから言い換えたのだな。言葉狩りの一種だな。

メーカーというとなんかコーヒーメーカー的な道具的な感じがするな。と思っていたら製造者のことはマニュファクチャラーと言うとか…でも、このカタカナ語、それこそ、F1とかラリーとかでしか聞かないな。

AppleのiPhoneの背面には
“Designed by Apple in California. Assembled in China”
と書いてる。

とすると、アップルは設計して、製造を委託して、組み立ててるのは中国のメーカーで、でも作ってるだけで、日本語的な意味では中国の人はメーカーではない(自分ちの製品を作ってるわけじゃないから)なので、敢えて中国製ともアメリカ製とも言ってないけど、中国で作ってるよと明示しているわけで…

どうやら、やはり、冒頭の謎は”メイドインジャパン”教の敬虔な信者の、自動車メーカーを手本にしがちな御隠居の一声で決まった線が濃厚である。

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