Issue of hair 2 快傑ライオン丸

髪の毛という自然を観察しようという試みを続行中な私であります。そもそも、「少し伸ばしたら落ちつくかも。」という思惑もないではなかったのですが、如何せん、私の天然荒波スーパーハードな髪の毛は、言うことを聞いてくれません。それにしても、「天パ」という言葉は何となく、頭が悪そうに聞こえると思ってるのは私だけでしょうか。

こうなったら、髪の毛を金色に染めて、逆立てて固めてスーパーサイヤ人になるか、あるいは、なでつけて、叫ぶ詩人の会のドリアン助川の金髪先生をやるかしか道はないのだろうかと悩む今日この頃です。

をむなもすなる長髪といふものを、をとこもしてみむとてするなり。

とちょっと紀貫之『土佐日記』風に言い訳をしても、ただでさえガチガチのクルクルな髪はヘアケアの概念に乏しい私の言う通りにはならないのでした。

私の言うとおりにならなくても、前園さんの言うとおりにならなるかしら、と、「AS.Is」なるヘアトリートメントウォータを買ってみても、わがままな私の髪は落ちつかないのでした。この製品、AS.Isっていうくらいだからそのコンセプトにはナチュラルスタイリングとかいうのがあるのでしょう。多分、as is = あるがまま と読ませたいのだろうから。

女性用の整髪料でもナチュラルスタイリングをうたった商品はたくさんありますが、ジェルなりフォームなり、ウォーターだかスプレーだかで人為的に決められた髪形のどこが natural = 自然な なのか理解に苦しみます。

でも、私の自然であるところの毛髪はたくましく暴れまわり、こないだの台風上陸の時などは、強風にあおられてライオン丸になってしまいました。

長い黒髪という表現もブリーチをかけたりヘアマニキュアした人の率が増えたこの頃では、陳腐になってしまいました。もっとも、私の場合は、ブリーチをかけずとも、完全脱色された天然物の髪がたくさんあります。長い髪の毛も必ずしも女性特有のものでなくなり、いわゆるロンゲな男もたくさんいますし、ショートヘアの似合う女の人もたくさんいます。

それでも、なお、「彼女にすんなら、やっぱ、ロングのストレートの黒髪だよな。」などとトホホな発言をする男の子もいます。例によって、このセリフを聞いた私は心の声で「なんで『やっぱ』やねん!!」とつっこむことを忘れませんでしたが、いまだ長い黒髪幻想は絶滅していないようです。

「おいらの髪も結構伸びたなぁ。」と感慨に耽っても、キムタコ止まりな私です(注:別にキムタクを意識しているわけではない)。白髪多いし、癖っ毛だし、ボソボソと屁理屈をこねる辺り、これで、顔に線を入れると、筋肉少女帯のボーカルのオーケンこと大槻ケンヂの線は狙えるかもしれんな。

この頃は無理やり結わえたりするので、チョンマゲになったりします。こないだ、人に「志村けんみたい」と言われましたが、なるほど、バカ殿や、変なおじさんのコンセプトにはいくらか親近感があるので、あながち、外れていないな。他に「お侍さんがいる」と言う方もいらっしゃいます。

そこで、はたと思ったのですが、江戸時代の男って、みんなチョンマゲしてたからロンゲだったのだ!ついでに越中褌なんかしてた日にゃ、ハイレグでTバックでサイドはストリングじゃないですか!うむ、文化背景が変わるとこうも変わるものかと、一人納得するのでありました。余談でありますが、パーティーグッズとしてピンク色の越中褌が「エッチふんどし」の名で売られてます。

さて、ここで、乱暴に社会や文化と結びつけて、結びとするのですが、きれいにカットされてセットされた髪の毛というのは、これは庭園や盆栽の美しさなんですな。現代社会は、自然を排除するので、伸びっぱなしの髪という自然は受け入れられないことがあるわけです。

林業のためにきれいに並べてたくさん植えられた林のせいで花粉症になってしまったり、人為的に配置され植えられた木を見て「やっぱ、緑があるのはいいねぇ」などと言ってみたりするのは、人の操作なしで、自然のようなものに接するのが困難な時代になったのだなぁということなのです。だから、ナチュラルスタイリングなる私にとって謎なことが、当然のこととして、受入れられてしまうのでありましょう。

とかなんとか言って、単にものぐさ太郎じゃないの?ってのも当たりです。

—MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS————————————
当時の本 『日本一短いオタクちゃんへの手紙』アイコン監修(アスキー出版局)丸井の看板を見て、関西人は「オイオイて、どないやねん!」とつっこむが、オタクちゃんは「おぉ、あんな所にシリアルポートが!」とぼける。


当時の世 台風の過ぎた翌日は暑かった。
当時の私 父から「こんどFAXであれするから、あれしてくれるか。」と電話があった。前のあれは「手書き原稿を送る」であり、後ろのあれは「ワープロで清書してから返送して」という意味である。

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