OJIGIBITO オジギビト

JR南武線、武蔵溝ノ口駅は駅改良工事中である。

そのため、例によって、そこにはオジギビトがいる。

”オジギビト”とは
とり・みきが勝手につけた名前で
工事現場でよく見かける
我々にむかって
お詫びしている
あの人達の総称である。
「くだんのアレ #8 オジギビトのルーツ その1」とり・みき
『頓智 96.5月号』(筑摩書房)より

くだんの雑誌は、残念なことに昨年、通巻第10号をもって休刊してしまった。ちなみに「くだん」というのは「件」という漢字を当てるが、これは人の頭をして、牛の体を持った動物で、未来を予言する能力を有するという伝説がある。そっちのネタも扱っていた「くだんのアレ」だったのが、くだんは掲載誌の休刊を予知できなかったのである。かえすがえすも、『頓智』の休刊は残念であった。

オジギビトの様々な例の収集については、同じ、とり・みきの『愛のさかあがり』(上下巻, ちくま文庫)にいくつかあげられている。

「くだんのアレ」ではそのルーツを探るというネタであったのだが、どうやら大成建設の通称「安全ぼうや」がルーツであるらしい。

さて、戻って、武蔵溝ノ口駅にいるオジギビトであるが、ヘルメットを取って一礼している。多くのオジギビトはヘルメットをかぶったまま礼をしているのだが、時折、ヘルメットを取っている例もあることが、先にあげた『愛のさかあがり』にも載っていて「ヘルメットを脱いでいるところが礼儀正しくていいですね」とコメントされている。

しかしである。

工事現場は「安全第一」であるはずである。そこでヘルメットを脱いでいるということは、彼の基本方針は「礼儀第一、安全第二」なのではないか。という疑いがある。

かくして、もやもやとした気分が晴れないままに、電車に乗って通勤しなければならないのである。

「みぞのくち」は「溝口」だったり、東急は「溝の口」で、JRのは「溝ノ口」であったりして、謎だったのだが、昨年、朝日新聞の地方版でそのネタで記事が載っていた。「ほほう」と思ったぼくは切り抜いておいたのだが、この機会に読み返そうと思ったら、そのファイルが見つからない。かくして、わたしのもやもやは一層深くなり、五里霧中、暗中模索でネタづくり。

 俺時々僕ところにより私
俺時々僕ところにより私
http://muccitexi.com/1997/08/31/the-mouth-of-groove/
I, My, Me

“Aren’t you Mosaku?” “No. I am Takeshi.”

古典ネタであった。失礼。

—MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS—————————————
当時の本 『愛のさかあがり』とり・みき(ちくま文庫, 上下巻各680円)


当時の世 ロシアタンカー重油流出事故
当時の私 まるで筑摩書房の回し者のようだ。

 

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