At Shibuya 夢は渋谷を駆け巡る

小雨の降る中、久しぶりに渋谷に行きました。
久々の渋谷は

日曜日でもちゃんと制服を着て、ゆったりしたセーターにコート、プリーツのミニ、紺のハイソや白のルーズの女の子と

ベロア素材の光沢のあるトップスにサイスリのタイトミニで、ロングコートにストレッチブーツのおねえさんと

俺なんか小者だなぁって思えてくる、ロン毛で、ヒゲ面、カッコいいスーツを着たおにいさんと

「ねぇ、あなた学生でしょ。ねぇ何才、何才」とアンケートの答えを要求する無礼なおばさんと

風景と同化したかのようなホームレスのおじさんと

カーカーとやかましいカラス

多い街でした。

渋谷の劇場ではレイトショーでしかやってないらしいので、有楽町まで足をのばしました。上映時間まで間があったので、付近をフラフラ路上観察。
銀ブラならぬ銀フラ
かっこいい街は苦手だ。
自分が浮いてる気がするから。

『ラブ&ポップ』

作品の中で私は、ヒロインたちとともにヴァーチャルに渋谷の街を駆けめぐるのでした。

オープニング。誇らしげに「R指定の書類」のアップ。

ヒロイン吉井裕美は持っているコンパクトカメラでスナップを撮る。
ぼくの持ってるのと同じTIARAだ(厳密にはIIだけど)。このことがよけいにぼくを引きつける。

オーバーダビングされる映像、音声。
文字だけの画面
『エヴァ』でも使われていた手法である。

 俺時々僕ところにより私
俺時々僕ところにより私
http://muccitexi.com/1997/07/22/the-end-of/
I, My, Me

横井奈緒の腰にはバーコード模様のフェイクのタトゥーがある。

またしても、庵野監督、アニメに続いて実写でも、なにやら白い液体を出している。困ったお人だ。確か原作ではコンドームをしていたはずである。

自分の目線。
イスの目線。スカートの目線。ソックスの目線。
ブラウン管の目線。鉄道模型の目線。電子レンジの目線。
自転車のペダルの目線。
グラスの目線。
指輪の目線。
他人の目線。
遮断機の目線。

絵的には直接的な描写は少ないけれど、脳味噌にダイレクトで訴えかけてくるところがある。

終盤の重要なキャラクター、キャプテンEOはおサルのファズボール君の縫いぐるみに話しかける。ファズ君の映像にはモザイクがかかっている。ファズ君はキャプテンEOがディズニーワールドに行った時、おとうさんに買ってもらったものだそうだ。
いわゆる放送コードに引っかかった時のような音がかぶる。監督の表現技巧なのか、なにか商標がらみの問題でもあったのか。

原作者 村上龍はあとがきの中で、取材に協力した女の子の名前を何人か挙げたのち

…を始めとする十数人の女子高生のみなさん、本当にありがとう。
私は、あなた達のサイドに立って、この小説を書きました。

と書いている。

監督 庵野秀明は
周りを取り囲む、他人、物、空気のサイドに立って、この映画を撮ったのでは?
そして、他人でも物でも空気でもないものとしての自分がここにいる。
そんな気がした。

小雨の降る中、「あの、すば~らしい、あ~い~を、も~いちど~」と主題歌を口ずさみながら、雪がだいぶなくなって、滑らなくなった舗装道路の上を、少し大股に歩く私だった。

はて?自分にリフレインしたくなるような素晴らしい愛があったかどうかは甚だ疑問である。

—MURAKAMI-TAKESHI-IN-THOSE-DAYS————————————
当時の本 『のうみそGOODハッピー』Chara(ソニー・マガジンズ,1359円)ぼくはCharaが好きである。キャプテンEOを作中で演じた浅野忠信はCharaのダーリンである。ぼくはこの夫婦のファンなんじゃないかなと思う。


当時の世 雪はまだとけてはいない。
当時の私 映画『ラブ&ポップ』を見てきた。

 

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